2023 Fiscal Year Annual Research Report
逐次積層によるレドックス活性錯体ナノ薄膜の開発と有機トランジスタメモリの高性能化
Project/Area Number |
21K04834
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
田原 圭志朗 香川大学, 創造工学部, 准教授 (50622297)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 有機半導体 / ベンゾチエノベンゾチオフェン / 白金錯体 |
Outline of Annual Research Achievements |
基板表面での錯体の逐次積層に向けて、令和5年度は、配位子にベンゾチエノベンゾチオフェン(BTBT)を導入した金属錯体の開発を行った。具体的には、3位にBTBT部位を有するピリジン誘導体BTBT-3pyを配位子に用い、目的の白金錯体を合成した。参照錯体は、シクロメタル化した補助配位子がpai-pai*遷移した励起三重項状態(3pai-pai*)に光励起される。また、BTBT-3py配位子は、BTBTからpyへ分子内電荷移動した励起一重項状態(1ICT)に光励起される。両者の構造を含む目的錯体について、過渡吸収スペクトルを測定したところ、BTBT-3py配位子の過渡吸収に類似したスペクトルが得られた。また、このスペクトルの時間変化から、この励起種は三重項状態であることが確認された。これらの結果から、目的錯体は、BTBT-py部位の3ICT状態に光励起されたと結論した。実際に、TD-DFTによって励起状態の最適化構造を量子化学計算したところ、3ICT状態が3pai-pai*状態よりも安定であった。参照錯体とBTBT-py配位子では、3p-p*状態が1ICT状態よりも安定である。このため、目的錯体で、3ICT状態が安定化され、配位子中心が補助配位子からBTBT-pyへ移ったのは、異常なシフトであると言える。pyの3位に付与したBTBT部位が励起状態で大きく構造緩和し、電子構造の再編が起こったと推察される。有機半導体ユニットを白金錯体に導入することで、励起状態を改変できることが示された。 研究期間を通して、錯体を積層したナノ薄膜を作製するため、白金錯体、ホウ素錯体を開発した。ホウ素錯体については、BTBTの二次元配列を一次元πスタックカラム構造へと変換し、薄膜からの電気化学発光を実現した。
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Research Products
(7 results)