2023 Fiscal Year Annual Research Report
高速AFM/光ピンセット複合機を用いたSMCの液-液相分離の形成・破壊機構の解明
Project/Area Number |
21K04849
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
梅田 健一 金沢大学, ナノ生命科学研究所, 特任助教 (60746915)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 高速AFM / 染色体維持構造タンパク質 / SMC5/6 / コヒーシン / DNA / 生体機能動態 |
Outline of Annual Research Achievements |
環状のモータータンパク質であるSMCは染色体の形成過程において重要な役目を担うが、その分子レベルの原理に関して不明な点が多い。そのため、高速AFMを用いて、SMCの中でももっとも機能性が解明されていないSmc5/6に関して実験を行い、前年度までにDNAにトポロジカル結合した分子像の可視化に成功している。AFM計測において、ATP結合状態であるO形構造がよく見られるが、クライオEMを使った先行研究により、ATP非結合状態であるI形構造は明らかとなっている一方で、O形構造に関しては明らかになっていない。そのため、既知のI形構造を基にして粗視化MDシミュレーションを行い、O形構造の生成を行った。これにより、AFM測定で得られたデータから分子構造を特定することに成功した。更に、Smc5/6のアームの角度解析から、片方のアームに結合したNse2サブドメインがアームの角度を固定する働きがあることを明らかにした。また、分子のDNAに対する結合角を解析したところ、ヘッドドメインがわずかに斜めに傾いており、ドメインの傾きを反映させるようにして、トポロジカル結合した分子もわずかに傾いていることを明らかにした。磁気ピンセットを使った先行研究により、Smc5/6はATP依存的にDNAや染色体をコンパクト化する働きがあることが明らかとなっているが、分子論的なメカニズムが明らかではない。高速AFMにおいても、DNAのトポロジーをRadius of Gyrationを解析したところ、Smc5/6結合状態の方が、非結合状態に比べて、統計的に優位な差でDNAをコンパクト化することが分かった。また、分子像から、ヘッドドメインを使って、DNAにトポロジカル結合した状態で、ヒンジドメインを使って、別のDNAに静電的にテザーすることを明らかにした。
|