2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of infrared photothermal deflection spectroscopy suitable for defect level evaluation of phase-change memory and selector materials
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21K04861
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
後藤 民浩 群馬大学, 大学院理工学府, 教授 (10311523)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 光熱偏向分光法 / アモルファス半導体 / 局在準位 / 相変化メモリ / 電気スイッチ / カルコゲナイド / 赤外線 / 状態密度 |
Outline of Annual Research Achievements |
カルコゲナイド系化合物半導体は、相変化メモリ・セレクタや神経細胞を模したニューロモーフィックシステムへの応用が期待されている。デバイス動作時の抵抗遷移過程を理解し、高性能化・信頼性向上を実現するには、半導体の基礎物性である局在準位情報が必要不可欠である。一方、一般的な局在準位評価法はこれらの材料に適用しにくい課題がある。そこで本研究では相変化メモリ・セレクタ材料の局在準位評価に適した赤外光熱偏向分光法を開発する。 今年度は光熱偏向分光システムの改良とカルコゲナイド薄膜の作製を行った。システムの励起光の周波数を最適化し、従来よりも2倍程度の信号増大を実現した。薄膜試料の微弱光吸収を評価する際、基板からの信号をはじめとするバックグランドの取り扱いが課題となる。特に石英ガラスのOH関連の光吸収がバックグランドとして大きいことが分かってきた。対応策として、赤外線領域の吸収の少ないサファイアを用いることで、2500 nmより長い波長領域のバックグランド信号を低減した。わずかに残るバックグランドと試料の信号を分離することで、アモルファスカルコゲナイド薄膜の低密度欠陥や不純物の定量が可能となった。 直流スパッタ装置を用い、代表的な相変化材料であるGe2Sb2Te5薄膜を作製した。従来用いてきた石英ガラスに加え、サファイアを基板として製膜を行い、従来と同様の物性を示すことを確認した。今後、相変化メモリに有望な新材料を製膜し、欠陥密度評価を行う。さらに、外部の研究機関からも材料の提供を受けることで、アモルファスカルコゲナイド材料群の局在準位情報を明らかにする計画である。 研究成果の一部を2022年第83回応用物理学会秋季学術講演会および2023年第70回応用物理学会春季学術講演会にて発表した。今後は膜質の異なる試料を作製し、欠陥密度の定量評価を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
光熱偏向分光システムの赤外線領域への拡張、S/Nの向上を目指し、必要な部品の準備、装置の組み立て、標準試料による性能評価を実施した。以下に示すように、現在までの進捗はおおむね順調である。 赤外線領域の励起光を得るため、タングステンハロゲンランプ、赤外線対応の各種光学部品(凹面鏡、サファイアレンズ、光学フィルター)を準備し、光熱偏向分光システムの光学系を構築した。システムのS/N向上のため、各種対策を実施した。ロングパスフィルター、プローブ光学系、励起光のチョッピング周波数の見直しを行い、システムを最適化した。さらに、レンズ、窓材に赤外線領域に優れた透過性を示すサファイアを活用した。これらの対策により、従来よりも2倍のS/N向上を実現した。 標準試料として、直流スパッタ装置によりGe2Sb2Te5相変化薄膜を作製した。新たにサファイア基板上に製膜し、従来試料と同様の物性を示すことを確認した。サファイア基板を用いることで、特に赤外領域のバックグランドが低減した。
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Strategy for Future Research Activity |
光熱偏向分光システムの赤外線領域への拡張とS/Nの向上がおおむね実現できた。今後も継続してシステムの調整、最適化を進めるとともに、試料作製と評価を進める予定である。試料作製については、Ge2Sb2Te5薄膜だけでなく、相変化メモリとして有望な新材料を製膜する。そして、光吸収スペクトルを解析し、局在準位密度を定量評価する。そして、評価・解析手順を確立し、これまで評価が難しかった様々な材料の局在準位評価を目指す。 薄膜試料の微弱光吸収を評価する際、基板からの信号をはじめとするバックグランドの取り扱いが課題となる。特に石英ガラスのOH関連の光吸収がバックグランドとして大きいことが分かってきた。対応策として、赤外線領域の吸収の少ないサファイアを用いることで2500 nmより長い波長領域のバックグランド信号を低減した。今後は、引き続きバックグランドの低減を目指すとともに、試料の信号を分離する解析方法の開発を進める。 今後、膜質の異なる試料を作製し、欠陥の定量評価を行う。さらに、相変化メモリとして有望な新材料に展開するため、製膜技術の検討、製膜の試行を行っている。さらに、外部の研究機関からも材料の提供を受けることで、アモルファスカルコゲナイド材料群の局在準位情報を明らかにする計画である。
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Remarks |
SIMIT, Shanghai Institute of Microsystem and Information Technology
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Research Products
(4 results)