2021 Fiscal Year Research-status Report
チタン酸バリウム構造を含む新規積層結晶構造を用いた磁気トンネル接合材料の創成
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21K04862
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
神島 謙二 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (20321747)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 結晶工学 / 応用物性 |
Outline of Annual Research Achievements |
二価鉄を導入した積層構造バリウム・鉄酸化物の作製を試みた。具体的には、Rブロック・Sブロックの交互積層構造をとるM型フェライトならびにBa-Fe-Ti酸化物に対し、Ti4+イオンおよびFe2+イオンの導入を試みた。試料の組成および焼成温度をコントロールすることにより、積層結晶構造単相の生成条件を探索した。 原料としてBaCO3, α-Fe2O3, ZnO, TiO2, Fe3O4 を用いて、目的の化学量論組成になるように秤量した。これらのうち二価鉄を含まない原料(Fe3O4以外)を湿式混合した原料粉を900°Cで仮焼成した。仮焼成後、遊星ボールミルで粉砕した。二価鉄原料であるFe3O4を加え、加圧成形し、石英管に真空封入した。その石英管を1000~1200°Cで5時間本焼成し、試料を作製した。試料の結晶構造をX線回折(XRD)によって同定した。 その結果、Fe2+, Ti置換したM型フェライトならびにBa-Fe-Ti酸化物の作製に成功した。置換によるキュリー点の系統的変化を観測した。これは、非磁性イオンであるTiを導入した効果に相当する。この二価鉄を導入したM型フェライト構造に絶縁障壁となる非磁性ブロックの導入を狙い、Alも導入し、この試料について、強磁場磁気測定を行った。 また、鉄酸化物探索の過程で、大きな磁化を示すカルシウム鉄スピネルを見出した。このスピネルは真空封入で作製したものでなく大気中焼成で作製したにも関わらず、二価鉄を含有していることも判明した。このような物質探索は、新材料開発研究の礎石となるものであり、重要なものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二価鉄イオンを注入した積層構造試料の作製に成功したため、順調に進展していると判断する。これは導電層になる二価鉄スピネルブロックのために必要不可欠な構成要素となるからである。 また、これに対し、絶縁層になる六方晶チタン酸バリウムブロックを如何に導入していくかが次の課題となる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに確立した二価鉄イオン注入積層結晶構造試料の作製条件を出発点とし、六方晶チタン酸バリウムブロックの導入を目論む。ゴム・プラスチック以外のすべての試料を粉砕できる遊星型ボールミルを利用し、原料試薬粉末をナノサイズまで粉砕する。その上で固相反応させることにより、 良質な強磁性積層構造試料の作製を試みる。
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Causes of Carryover |
当初予定していた物品が予定よりも安価で購入できることがわかり、その分を未使用額として令和4年度に使用することとなった。未使用額は、試料封入に使用する石英管の購入に使用する予定である。
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Research Products
(4 results)