2021 Fiscal Year Research-status Report
ダイヤモンド量子センサを使ったスピン流空間イメージング
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21K04871
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Research Institution | National Institutes for Quantum Science and Technology |
Principal Investigator |
針井 一哉 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 先端機能材料研究部, 主任研究員 (00633900)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
李 松田 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 先端機能材料研究部, 主幹研究員 (90805649)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | スピントロニクス / ダイヤモンド窒素-空孔発光中心 / 2次元物質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は物質中を流れるスピン流の空間イメージングを目的とする。イメージングには高い磁場感度を持つダイヤモンド窒素-空孔発光中心による光検出磁気共鳴を用いる。スピン流源には強磁性を要せず、円偏光照射によってスピン流を励起可能な遷移金属ダイカルコゲナイドを使い、スピン伝導性の高いグラフェンとのヘテロ積層膜にすることでミクロスケールのスピン伝導を実現する。グラフェン端でのスピン蓄積が作る磁場を、ヘテロ構造膜を転写した窒素-空孔中心を高濃度に含むダイヤモンド基板の光検出磁気共鳴の空間分布を通じてイメージングする。 以上の目的を実現するため、本年度は試料作成プロセスの開発と測定系の構築を行った。具体的には、試料については高濃度窒素-空孔中心含有ダイヤモンド基板の作成と光検出磁気共鳴の予備測定を行い、CVD-単層グラフェンの成長最適化と加工技術の確立、TMDC/グラフェンヘテロ積層膜の試作をした。測定系については多波長対応の円偏光照射系、光検出磁気共鳴の空間イメージングシステム、スピン流特性測定系の構築を完了した。 次年度では本年度の結果をもとに実際の測定用試料の作成を行うとともに、試料の円偏光スピン流励起特性の測定を行い、これらの成果をまとめる。加えて構築した測定系を使って円偏光によるスピン流生成の測定を開始する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
所属機関の持つダイヤモンド窒素-空孔発光中心作製技術を用いて、高純度IIaダイアモンド中に10^16イオン/cm^2の窒素を注入した高濃度窒素-空孔中心含有ダイアモンドを作成した。また、スピン流伝導のためのCVD-単層グラフェンについて、サファイア基板を用いて成長条件の最適化を進めた。スピン流導入のため、グラフェン結晶性及び移動度評価を進めるとともに、円偏光誘起スピン流源としてのMoSe2のグラフェン上への成長の試作を行った。 測定系についても、液晶リターダーを用いた波長785nmレーザーによる偏光制御系、ガルバノスキャナを用いた波長532nmレーザーによるダイヤモンド窒素-空孔中心励起系、半導体フォトンカウンタを用いた蛍光測定系、電気プローブによるスピン電圧信号測定系、回転電磁石による磁場印加系を同時に使える測定システムの構築を進め、個別のシステムについて性能評価を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
第2年度では、スピン流イメージングに用いるTMDC/グラフェンヘテロ構造中のスピン伝導を重点的に調べる。そのため、まずCVD-単層グラフェンのスピン注入に関する基礎データとして拡散長の評価を行う。その後、MoSe2を中心としたTMDC/グラフェンヘテロ構造の成長条件の最適化を進める。試料作成については分担者が主体となって進める。 並行して作成したヘテロ構造については円偏光PLEなどを用いてスピン流生成効率の波長依存性を調べる。そのデータをもとにヘテロ構造における円偏光スピン流生成と検出実験を行う。まず強磁性体端子を用いた電気的スピン流検出を行う。順調に測定が進めば、高濃度窒素-空孔中心含有ダイヤモンドにヘテロ構造を転写し、スピン流イメージングに着手する。測定については代表者が主体となって進める。
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Causes of Carryover |
本年度設備費の大部分を占める予定だった電磁石について、装置の性能を最大限発揮できるよう、次年度、光学測定系の構成が確定したのちに電磁石の設計を最適化する計画としたため。
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