2022 Fiscal Year Research-status Report
超高真空・極低温下で動作する走査ダイヤモンドNV中心プローブの開発
Project/Area Number |
21K04878
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
林 都隆 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 研究員 (60836857)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 走査プローブ顕微鏡 / ダイヤモンドNV中心 / 局所磁場計測・イメージング / 超高真空・極低温 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに開発した原子間力顕微鏡(AFM)機構とFPGA統合コントローラ及びLabVIEWによる制御プログラム、超高真空・極低温下で動作可能な搬送型の走査ダイヤモンドNV(窒素―空孔複合体)中心プローブとマイクロ波印加が可能な搬送型試料ホルダー機構を用いて、先ず、室温・大気中にて磁気構造イメージングの分解能向上と評価に取り組んだ。 NV中心を含有する、幅約4 μm、長さ約12 μmの楔形状のダイヤモンド粒子を水晶振動子型のAFMプローブとして動作するタングステン線の先端に取り付けて、走査ダイヤモンドNV中心プローブに応用した。この楔形状のダイヤモンド粒子は元よりNV中心を含有していること、先端部の直径が500 nm 程度であることから、NV中心プローブの制作工程を大幅に簡略化した。 計測時のダイヤモンドプローブ先端のNV中心の熱ドリフトの影響を補正する、ガルバノミラー機構によるレーザー位置トラッキング制御は、補正アルゴリズムを改修(微分値抽出)することで、補正の確実性を向上した。 観察する試料にはガリウムヒ素基板上に作製したコバルト鉄(CoFe)薄膜のマイクロメートルスケールの島構造(膜厚50及び140 nm)を静磁場(100 mT)中に置き、面内方向に磁化させて用いた。AFM制御によりトポグラフ像を取得しながらNV中心からの蛍光観測を、光学的磁気共鳴(ODMR)の起こる特定周波数のマイクロ波下とODMRに寄与しない周波数のマイクロ波下の2点で行い、正規化した信号をマッピングすることで、従来のマイクロ波周波数を掃引する方法よりも高速に、磁気構造の空間分布に依存した漏洩磁場による磁気イメージングが可能になった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
先ず、ダイヤモンドNV中心プローブの開発とその評価に注力するため、室温・大気中の環境下でのプローブ評価を行った。この結果、ダイヤモンドNV中心プローブの開発には成功したが、当初の予定であった、超高真空・極低温環境下での走査ダイヤモンドNV中心プローブ動作の実現に関する研究は遅延が生じたため。
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Strategy for Future Research Activity |
開発中の超高真空・極低温で動作する走査ダイヤモンドNV中心プローブにおいて室温・大気中でのプローブの作成法の向上、磁性試料の磁気イメージング手法の向上に成功している。これより、今後、早急に超高真空・極低温環境を整備して、超高真空環境下での清浄な試料表面でのNV中心プローブによる磁気・スピン計測、極低温環境下でのスピン、超伝導体等の計測に向けて注力する。特に、水晶振動子型AFM機構で原子分解能観察をしながらNV中心プローブによる磁気イメージングを実証し、原子レベルでのスピン計測手法としての有用性を実証したい。またプローブのNV中心の既知の外部磁場中のODMRスペクトルからNV軸の特定し、測定したデータを解析したい。
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Causes of Carryover |
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