2021 Fiscal Year Research-status Report
高Sn組成GeSn結晶創成を目指したスパッタエピタキシー法の構築
Project/Area Number |
21K04880
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
國吉 望月 大阪大学, 工学研究科, 招へい研究員 (40897443)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡部 平司 大阪大学, 工学研究科, 教授 (90379115)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | ゲルマニウムスズ / スパッタリング / エピタキシャル成長 |
Outline of Annual Research Achievements |
ゲルマニウム(Ge)はスズ(Sn)の添加や引張歪みの印加により間接遷移型から直接遷移型へエネルギーバンド構造が変調することが知られており、シリコンフォトニクスや赤外センシングへの応用が期待されている。 GeやGeSnのエピタキシャル成長で一般的に用いられるCVD法では危険ガスを使用することが多く、MBE法では大面積成膜が非常に困難である。本研究では、量産性や安全面で優れているスパッタリング法によるGeSnエピタキシャル成長を試みた。また、GeSn膜-基板間の格子不整合起因の転位を防ぐため、SiO2をパターニングしたepitaxial lateral overgrowth(ELO)層の導入を検討した。 まず、エピタキシャル成長の有無を確かめるため、Ge(100)基板およびSi(100)基板上にGeの成膜を行った。その結果どちらの基板でも基板温度200℃以上でエピタキシャル成長の傾向が見られ、Geへの固溶限界である1%以上のSnをGeとの同時スパッタで添加した場合でもその傾向が見られた。 また、Ge(100)基板およびSi(100)基板上ELOパターンの形成についてもプロセスを確立した。その中で、Ge基板はフォトリソグラフィで用いられる紫外光に対し敏感な反応を示すことも分かった。 ELO/Ge(100)上にGeSnをスパッタリングで成膜したサンプルの室温でのフォトルミネッセンス(PL)スペクトルによる発光特性を得ることができた。しかし、ELO上のGeSnの膜厚が薄いためか平坦な膜が得られていなかった為、今後GeSn/ELO構造の最適化を行うことでさらに高い発光強度が得られると予想される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、GeSnのスパッタリング条件の最適化やELO層形成技術の確立を行うことができ、エピタキシャル成長の傾向や室温での発光特性も確認することができた。スパッタリング条件に関しては、スパッタ時のプロセスガス流量(チャンバー内圧力)、スパッタパワー、基板温度を変えることで膜質や結晶性に違いが見られることが分かった。発光特性に関してはELO層を挿入することで発光ピーク波長がシフトすることが分かり、Snの固溶や圧縮歪の緩和によりGeのエネルギーバンドギャップが変化した可能性があり、期待以上の成果が得られた。 また、計画の一つであるレーザー溶融単結晶GeSn上へのGeSnスパッタエピ膜の形成に向け、レーザーアニール条件の検討も順調に進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、基板下地に細線状単結晶GeSnを用いたSn含有GeSn層のスパッタエピタキシャル成長による形成を行っていく。また、昨年度の実験結果から良質なエピタキシャル膜が得られた可能性が高いためさらに結晶性の評価を行っていく。加えて、先述したようにELO上のGeSnの膜厚が薄いせいか平坦な膜が得られていなかった為、膜厚を厚くしたGeSn/ELOの作製を行い、その結晶性や光特性の評価を行っていく。 昨年度は基礎的なデータや実験法の確立を主として行っていた為、本年度はさらに実験やデータを積み重ね学会等で成果の発信をしていく。
|
Causes of Carryover |
新型コロナの影響で学会参加を断念したことや、実験が一時中断してしまい未使用額が生じた。また、実験の際フォトリソグラフィが上手くできず、実験が約2か月間中断していたこともあり、作製したサンプルの外部への分析依頼が間に合わず、未使用額が発生した。 次年度は実験に伴う基板などの高額な消耗品の発注が増えることが見込まれ、学会への参加も行う予定である。加えて、令和3年度で作製したサンプルが良好な結晶性を示す可能性があり、外部への分析依頼等を行う予定であるため、これらの経費に充てる。
|