2022 Fiscal Year Research-status Report
次世代ロジック半導体におけるルテニウムやグラフェン配線の熱マネジメント
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21K04886
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
ジャン テンゾウ 東洋大学, 学際・融合科学研究科, 准教授 (00803389)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 配線 / low-k層間絶縁膜 / 界面熱抵抗 / 有限要素法シミュレーション / 界面分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
次世代ロジック半導体における配線の熱マネジメント技術の基盤構築を目的とし、現在配線材料の主役である銅だけでなく、次世代配線材料として期待されるルテニウム(Ru)に着目し、配線と層間絶縁膜の界面熱抵抗を周波数領域サーモリフレクタンス法で測定し、測定された界面熱抵抗は重要なパラメーターとして最先端ロジック半導体における配線の温度上昇に与える影響を、有限要素法シミュレーションを用いて解明した。 これまでの研究では、Si基板上の自然酸化膜SiO2は層間絶縁膜として使用した。最先端ロジック半導体においては、RC遅延を抑えるために、low-k層間絶縁膜は使用されている。本研究では、Si基板上にスピンコーティングでメチルシロキサン系有機SOGを塗布し、作製したlow-k薄膜は層間絶縁膜として使用した。スパッタリングでCuやRu配線金属層を成膜した。作製した積層構造の界面熱抵抗は、真空中で周波数領域サーモリフレクタンス法により測定した。low-k材料における有機物の含有量と塗布後の熱処理温度が界面熱抵抗に及ぼす効果を調査した。その結果により、low-k材料におけるメチル基はlow-k材料の熱伝導率を低減するだけでなく、配線金属/層間絶縁膜の界面熱抵抗を増加したことがわかった。メチル基を有する層間絶縁膜と配線金属の界面結合が弱いためである。X線光電子分光(XPS)、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)を用いて界面結合状態と官能基評価を行い、界面結合の強さは配線金属/層間絶縁膜の界面熱抵抗に大きく影響することを解明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究では、物質・材料研究機構微細加工プラットフォームの全自動スパッタ装置と早稲田大学の透過型電子顕微鏡装置は故障が発生したため、試料の作製や評価はやや遅れている。界面熱抵抗の測定と有限要素法シミュレーションは順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
将来に目を転じると、Ru配線でも限界がくるので、配線材料の「最終兵器」としてグラフェンが注目されている。今後の課題では、グラフェンは配線材料として使用し、配線と層間絶縁膜の界面熱抵抗を周波数領域サーモリフレクタンス法で測定し、配線の温度上昇に与える界面熱抵抗の影響を、有限要素法シミュレーションを駆使して解明する。また、様々な界面分析手法を使用して界面熱抵抗の支配要因を解明する。
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Causes of Carryover |
今年度は計画通りに執行した結果、物質・材料研究機構や早稲田大学の装置の故障が発生したため、使用予定であった装置使用料の残額が生じた。次年度使用額は、グラフェン試料の購入、試料作製や分析の装置利用料、海外と国内学会の旅費と参加費として使用する予定となる。
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