2022 Fiscal Year Research-status Report
質量輸送過程におけるシリコン表面融液局所エピタキシャル結晶成長の精密制御
Project/Area Number |
21K04912
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Research Institution | Suzuka National College of Technology |
Principal Investigator |
西村 高志 鈴鹿工業高等専門学校, 電気電子工学科, 准教授 (10757248)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 表面融液 / 液相エピタキシャル結晶成長 / その場観察 / 強磁場印加 / 高電界印加 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は研究計画で示したようにシリコン(Si)表面融液成長への電磁界印加の効果を研究した.この研究のため,2Tの磁束印加機構の開発,30 kV強電界印加機構の開発を行い概ね完了することができた. 実験では,Si(111)面ウェーハを長辺が<-1 -1 2>方向とする短冊状(14×4×0.38 mm)に切り出し,その中央より<-1 -1 -2>方向に1 mmの位置にSiの細路(幅1 mm, 長さ1 mm)をマイクログラインダーで形成した.そのSi基板の左右端の上面にモリブデン(Mo)箔を機械的に接触させて通電電極とした.また,ウェーハより1 mm奥に表面磁束1.3 Tのネオジウム磁石を設置し,Si表面に平行に磁場を印加した.この状態の試料を超高真空下に設置し,2電極を介してSi基板に通電し、細路を局所加熱した.通電電流の向きは磁場に垂直である.電流値を2 A/sで増加させ表面を溶解し,13 Aに到達した直後に2 Aまで下げて表面融解Siを凝固させた. 通電により細路が優先的に溶融し,高さ350 umの突起結晶が成長した.この突起結晶の成長方向は,通電電流(I)と磁場(B)に対してI×Bの向きであった.一方,電流の向きを反転させると突起は基板裏面に成長した.この結果は通電表面溶融Siが磁場印加によるローレンツ力を受けていることを示す.突起先端の曲率半径は磁場印加すると0.5 um,磁場印加無しで12 umであり,磁場印加により突起結晶が先鋭化された.表面エネルギーの変化量とローレンツ力による仕事量が一致することから表面融液はローレンツ力により移動したことを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画で示した強磁場印加のシリコン表面融液成長への影響を明らかにし論文投稿することができた.よって順調に研究は進展していると評価する.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,研究計画で目指している表面融液成長からの電子線源結晶の成長を目指し,強磁場で基板上面へ成長させたシリコン突起結晶の先端部へ強電界を印加し,正に帯電したシリコン融液を引き上げる効果を利用してナノスケールで鋭い電子源結晶の成長を目指す.その先端部を電界放出顕微鏡で評価するための装置開発も進める予定である.
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Causes of Carryover |
実験途中での電源の故障のための修理費用を計上した.また,実験の再現性向上のために電源の自動制御機構を開発するためのPLC機構の開発のための費用を計上した.以上の理由より予算使用計画の一部を変更している.
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Research Products
(2 results)