2023 Fiscal Year Annual Research Report
Bi系化合物半導体量子ドットによる完全温度無依存レーザ
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21K04914
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
赤羽 浩一 国立研究開発法人情報通信研究機構, ネットワーク研究所フォトニックICT研究センター, 室長 (50359072)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富永 依里子 広島大学, 先進理工系科学研究科(先), 准教授 (40634936)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 量子ドット / Bi系化合物半導体 / 半導体レーザ / 分子線エピタキシー / ドロップレット |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では完全に温度無依存な半導体レーザ実現のため、Bi系半導体量子ドットの形成法を確立することを目的とする。2023年度はBiを照射した量子ドットレーザの発振波長の温度無依存化のメカニズム解明のため、量子ドットレーザの利得スペクトルの温度依存性に関する研究を行った。 InP系材料におけるBi照射量子ドットレーザの作製では少量のBi混入の期待できる温度領域(380℃)で量子ドットレーザを作製し、レーザ発振を確認した。この量子ドットレーザについて、ハッキ-パウリ法により利得スペクトルを求めた。また、温度変化に対する利得スペクトルの変化について詳細に調べた。Biを照射していないレーザ、照射したレーザについて利得スペクトルを測定したところ、両者とも最大で15/cmの利得ピーク値を持つことが明らかになった。両者がほぼ同じ値を持つことは、しきい値電流がほぼ同程度だったことと一致しており、矛盾の無い結果である。また、異なる温度で利得スペクトルを測定したところ、Bi照射なしの量子ドットレーザでは20℃から60℃の温度変化で約16.5nmのピークシフトを観測した。これに対してBi照射ありの量子ドットレーザでは、同じ温度変化において5.7nmのピークシフトであった。これらのことよりBiを照射した量子ドットレーザでは利得自体のピークシフトが小さいことが明らかになった。 また、より高濃度のBi混入を目指し、低温におけるBi照射によりInGaAsP系の結晶成長と、低温成長による結晶性の劣化を回復するための、成長後アニールの検討を行った。低温成長によりBi混入濃度は数%まで増加したが、結晶品質の劣化による量子ドットの発光強度の低下が見られたが、これを500℃程度でアニールすることにより、発光強度の増加が観測された。この手法によりより高濃度のBiを有する量子ドットレーザ実現が可能であると考えられる。
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