2021 Fiscal Year Research-status Report
Direct measurement of time-frequency quantum channels of photons for the construction of the quantum internet infrastructure
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21K04915
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小川 和久 大阪大学, 量子情報・量子生命研究センター, 特任講師(常勤) (80772574)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富田 章久 北海道大学, 情報科学研究院, 教授 (60501434)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 直接測定 / 時間-周波数自由度 / 超短パルス / 量子インターネット |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では, 個々の量子系を量子通信によりコヒーレントに接続し, 将来的に大規模な量子情報処理を目指す「量子インターネット」構想を念頭に置き, 各量子系を光子の時間-周波数自由度に量子情報をエンコードして伝送する際の, 送りたい光子の時間-周波数状態の準備, および量子チャネル通過に伴う未知の変換 (プロセス) , 光子を検出して状態を評価する際の測定を評価する手段として, 「直接測定」という独自のアプローチを提案し, 実証することを目指している. まず最初の段階の2つの課題として, 「(扱いやすい別の物理自由度での)直接測定という独自アプローチの検証」と「光子の時間-周波数状態の実験的操作」を設定した. 前者に関しては, 直接測定の理論は物理系の種類にはよらず一般的に成立する理論であるため, 多少扱いが難しい光子の時間-周波数状態を用いた実験を最初に行うのではなく, それに先立って, 扱いやすい光の偏光状態を用いて, 状態・プロセス・測定の直接測定が実現することを実験的に検証し, 量子トモグラフィと比較して遜色ない精度で実行できることを示した. 後者に関しては, 実際に100フェムト秒以下の超短パルス光子の時間-周波数自由度を操作して状態の生成およびその状態の直接測定を実験的に実現した. これらの実験結果については, 前者は現在論文執筆中であり, 後者についてはOptical Express Vol. 29, Issue 13, pp. 19403-19416 (2021)において発表された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに, 「(扱いやすい別の物理自由度での)直接測定という独自アプローチの検証」と「光子の時間-周波数状態の実験的操作」の2つの実験をおこなった. 当初の計画では後者の実験を, 混合状態を含めた一般の初期状態に対して直接測定を行うという予定であった. しかし光子の時間-周波数状態の実験的操作を信号対雑音比を維持したまま行うことが予想に反して難しかったため, 混合状態を含めず純粋状態に対してのみ, 直接測定を実験的に検証した. 一方, 次年度以降に光子の時間-周波数状態におけるプロセスの直接測定を行うに先立って, 直接測定実験の際に生じる問題を把握しておくため, 比較的扱いやすい光の偏光状態を用いて, 状態・プロセス・測定の直接測定の実験的検証をおこなった. この先行実験をおこなったおかげで, 非物理的なパラメータを持つ測定結果を得た場合の処理など, 事前に知っておくべき知見を得ることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は光子の時間-周波数自由度のプロセスや測定の直接測定の実験を行うことを目指す. ただしそれを行うためには, このまま純粋状態の直接測定で用いた系を拡張するだけでは, 十分な信号対雑音比で実験結果を得ることは困難であることが予想される. そこで系全体をファイバベースで構成し, 干渉計のミスアライメントや余計な損失を低減することを考える. また単一光子光源を市販の高レートのものに置き換える. このような工夫を施した上で, 時間-周波数自由度のプロセスや測定の直接測定が従来手法と比較して精度良く実現できるかどうかを検証する.
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Causes of Carryover |
次年度行う実験では、当該年度とは異なり実空間光学系からファイバ系へ移行するため、次年度に新たに購入する必要がある物品がいくつかあり、次年度に243,020円を繰り越した。次年度では予算をそのファイバ系構築に必要な物品購入費用に充てる予定である。
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Research Products
(1 results)