2022 Fiscal Year Research-status Report
ピクセル間クロストークを利用した位相検出法における信号符号化方式の研究
Project/Area Number |
21K04917
|
Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
藤村 隆史 宇都宮大学, 工学部, 准教授 (50361647)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | ホログラフィックメモリー / クロストーク / 位相検出 / 振幅位相多値信号 / 偏光位相多値信号 / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、われわれが提案しているクロストークを利用したシングルショット位相検出法において、高密度・高転送レートを実現する位相決定アルゴリズム、信号符号化法を開発すべく、下記の3項目について検討を行った。 【エラーピクセルの解析と新しい位相決定アルゴリズムの開発】これまでに検討してきたいくつかの位相決定アルゴリズムにおいてエラーが生じたピクセルを解析することで、それぞれが別のピクセルで検出エラーを起こしていることが明らかとなった。これを踏まえ、各境界強度の情報からよりエラーの出にくい位相決定アルゴリズムを選択する新しいアルゴリズムを構築し、結果的にエラーレートを約6割程度にまで減少することに成功した。 【振幅位相多値信号、偏光位相多値信号への拡張】本年度は、これまで位相の多値信号を扱っていたところを、振幅情報および偏光情報も信号に組み込んだ振幅位相多値信号、偏光位相多値信号へ信号符号の範囲を拡張し評価を行なった。その結果、振幅位相多値信号は、符号間距離が縮小されることによるクロストーク増加の影響が大きく、転送レートは向上するものの記録密度の改善には至らなかった。一方で新たに提案した偏光位相多値信号では、偏光子の挿入により転送レートに加え、記録密度が改善する見込みがあることが確認された。 【多出力ネットワーク構造による機械学習出力速度の改善】機械学習には大幅に信号検出エラーを低減できる一方で、入力すべき画像数の多さから検出速度が遅くなるといった課題がある。これに対しニューラルネットワークを複数の出力層をもつように修正し、入力する画像数を減らすことで高速化を図った。その結果、98の出力層をもつネットワーク構造では、従来の位相決定アルゴリズムと比較して、信号検出エラーを約1/60程度にまで低下させつつ、位相検出時間もほぼ同等のレベルまで短縮できることを確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、当初予定していたエラー特性解析による新しい位相決定アルゴリズムの開発、振幅位相多値信号への拡張に加えて、新たに偏光位相多値信号という新しい符号化方式を提案した他、機械学習を用いた場合でも従来の位相決定アルゴリズムを用いた場合と同等の検出速度が出せることを数値的に示すことができた。一方で記録密度に関しては、いずれの方法においても2倍程度の改善ができているにとどまっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は、どのような信号符号が近接しているときにエラーが生じやすいかという本手法特有のエラー特性を調査し、エラーの出やすい信号符号を隣接しないように配置した新しい信号符号を構築しその性能を評価する。また本研究で新たに提案した偏光位相多値信号のシングルショット検出も引き続き調査をすすめ、記録密度の改善をはかる。また記録密度の改善度合いが2倍程度にとどまっている原因が1ページ容量の限界に到達している可能性があることを考慮し、時間が許せば当初の計画に追加して、多重記録されたページまで含めたトータル記録密度の改善を試みる。
|
Causes of Carryover |
今年度の残額は千円程度であり、ほぼ予定通り使用したといえる。残額は、次年度の消耗品費として使用する。
|