2021 Fiscal Year Research-status Report
周期可変回折格子を用いた高速広帯域波長走査光源の構築とOCTへの展開
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21K04922
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
鈴木 孝昌 新潟大学, 自然科学系, 教授 (40206496)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
崔 森悦 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (60568418)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 波長走査光源 / OCT / 音響光学偏向器 / 周期可変回折格子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、音響光学偏向器(AOD)を単なる光偏向器としてではなく、周期可変な回折格子として捉え、新たな原理の波長走査光源(SS)を構築するとともに、光コヒーレンストモグラフィ(OCT)への展開を図ることにある。 令和3年度は、研究実施計画に従い、以下の通り研究を進めた。 外乱の影響を排除しつつ機械的安定度を高めるため、専用の筐体を設計し、これまで使用実績のある840nm帯の無反射コート半導体レーザ(AR-LD)を用いて新提案の波長走査光源(SS)を構築した。ここで音響光学偏向器(AOD)の印過電圧を制御し、波長走査幅を測定したところ、約60nmの波長走査幅が得られた。また、測定された波長は、理論曲線に沿って変化することを確認した。ただし、ゲイン特性から期待される波長走査幅目標値(約80nm)の達成は困難であった。LDの損傷や劣化を考慮し、注入電流を低めに抑えたことが一因と考えられるが、他の要因に関して検証を行っていく必要がある。一方、波長走査周波数(速度)の上限値は、約50kHzであった。圧電素子(PZT)等を用いた機械的な波長走査に比較すると走査周波数は飛躍的に向上することが示された。ここまでの内容が、令和3年度実施計画に示された内容であり、研究は当初の計画通り遂行することができた。特に、AODを周期可変な回折格子とし用い、新たな原理に基づいてSSを構築できた意義は大きく、今後の光計測技術進展への寄与は大きいものと考えられる。 加えて、令和3年度は、以下に詳述の通りOCTシステムでの動作検証、特許出願、論文発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
前述の通り、令和3年度は、840nm帯で動作する新規SSの構成と性能評価を計画通り進めることができた。加えて、令和4年度実施予定であった薄いガラス板の厚み分布計測を行い、この新規SSが既存のOCTシステムの光源として十分使用可能であることを実験的に検証した。一連の研究成果はアメリカの光学系学術誌Optics Lettersに投稿され、すでに掲載がなされている。また、研究計画には無かった特許出願も済ませた。加えて、令和4年度に予定していた実験に必要な機材(1060nm帯のLDおよびAOD)を前倒しで購入し、実験の準備も行った。 以上の理由により、令和3年度は、研究が計画以上に進んだと判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は順調に進んでおり、当初の計画から大きな変更はない。令和3年度の研究で残った課題(波長走査幅拡大と走査周波数向上)に関して検証を進めるとともに、令和4年度実施予定の計画、すなわち1060nm帯でのSS構築と性能検証、およびOCTシステム構築を進めていく。
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Causes of Carryover |
当初計画よりも研究が進展し、前倒し支払請求を行ったたこと、当初予定していなかった論文投稿費用が掛かったことなどにより、当初予定していた使用金額との間に差異が生じたため。 次年度の予算と合わせ、有効に活用していく。
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Research Products
(3 results)