2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of transparent fluoride ceramics that realizes short pulse lasers in the blue-green, green, orange, and red regions
Project/Area Number |
21K04926
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤岡 加奈 大阪大学, レーザー科学研究所, 准教授 (00762395)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
椿本 孝治 大阪大学, レーザー科学研究所, 准教授 (90270579)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 透明セラミックス / 可視域レーザー材料 / プラセオジム / アルカリ土類金属フッ化物 / イオン拡散 / フッ素欠陥 |
Outline of Annual Research Achievements |
青色半導体レーザー励起の可視域レーザー材料として有望なPr3価イオン(Pr3+)添加アルカリ土類金属フッ化物(Pr:CaF2およびPr:SrF2)のセラミックス化を目指して、2022年度は以下の研究を行った。 1)Pr,LaCaF2およびPr,La:SrF2原料粉体を液相で一括合成する場合、PrおよびLaの濃度が設計値の半分程度に減少する。一方、3種混合粉体(CaF3-PrF3-LaF3、およびSrF2-PrF3-LaF3)に市販のフッ化物を用いた場合、粉体の結晶性が高くかつ粒子径が大きいため、焼結時の粒界反応が低下してイオン拡散が不十分となり、光散乱の原因となる組成(屈折率)の不均一が生じる。そこで、反応性を高くするために結晶性が低く粒子径の小さいCaF3、SrF2、PrF3、LaF3を個別に合成し、セラミックスを製作した。その結果、散乱が少なく透明性のあるものが得られたが、若干黒色に着色した。反応性に富む粉体は不安定でもあるため、セラミックス製作の過程でフッ素欠陥が発生したと考えられる。 2)フッ素欠陥を抑制するために合成時に過剰のフッ化カリウムを用いること、焼結時に真空度を上げすぎないことが有効である可能性を突きとめた。 3)セラミックスの吸収スペクトルおよび蛍光スペクトルをJudd-Ofelt理論に基づいて解析を試みた。解析精度を高めるには、PrおよびLaの濃度が既知で、散乱や着色のないセラミックスを用い、解析には中赤外域での吸収遷移も含めることが望ましいことが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)3種類の液相一括合成粉体(CaF3-PrF3-LaF3、およびSrF2-PrF3-LaF3)を焼結したセラミックスでは、設計値通りのPr、Laがドープ可能で、光散乱の低減によって高い透明度を得られることを実証した。これは、個別合成した粉体は反応性が高く焼結時にイオン拡散しやすいとの予測が正しかったことを示している。 2)一方で、個別合成した粉体を用いるセラミックス製作過程では、フッ素欠陥が発生することが示唆された。そこで、液相合成時に過剰のフッ化カリウムを用いること、焼結時に真空度を上げ過ぎないことで、フッ素欠陥を抑制できる可能性があることを明らかにしたので、低散乱で着色のないセラミックス製作への見通しが立った。
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Strategy for Future Research Activity |
1)フッ素欠陥を抑制するために、合成時に用いるフッ化カリウムの過剰量と焼結時の真空度の最適化を行い、さらに透明度の高いセラミックスを製作する。 2)セラミックスの大型化(直径20 mm程度)を行う。 3)設計値通りのPrおよびLa濃度を有し透明度の高いセラミックスを用いて吸収スペクトルおよび蛍光スペクトルを計測する。Judd-Ofelt理論に基づいて分光学的特性を評価し、誘導放出断面積、蛍光寿命、蛍光分岐比の母材依存性やバッファーイオン濃度依存性明らかにする。 4)上記のセラミックス製作技術の向上と分光学的評価に基づいて、レーザー動作に適したPr3+添加アルカリ土類金属フッ化物セラミックスの実現に繋げる。
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Causes of Carryover |
学会のオンライン参加によって旅費の執行額が減ったこと、及び物品納品の遅れにより、次年度使用額が生じた。 次年度、未納品物品の支払いと分析費に使用する。
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