2021 Fiscal Year Research-status Report
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21K04928
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
時実 悠 徳島大学, ポストLEDフォトニクス研究所, 特任助教 (80648931)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | テラヘルツ / 光渦 |
Outline of Annual Research Achievements |
テラヘルツ(THz)波は非金属物質に対して電波の様な透過性・低散乱性を有し、光に不透明・散乱のある材料にも計測を可能とする。同様に物質透過性を有するX線と比べるとTHz波のフォトンエネルギーは小さいため、空間分解能は劣るが、生体に対する侵襲性が小さく、安全な利用が可能である。これらの特徴はTHz三次元計測に応用され、豊富な提案が行われている。しかし、THz波三次元計測はフェムト秒レーザーベースのTHz時間領域分光装置(THz-TDS)や分割型のTHz干渉計が用いられ、光三次元計測に比べて技術的ハードルが高い。THz波三次元計測の進展には取り扱いの容易な連続波THz(CW-THz波)を用いた簡便な計測手法が強く望まれる。本研究ではらせん状の波面を持つTHz渦を用いたCW-THz波による三次元計測を実現する。これにより大型なレーザーや分割型の干渉計を必要とせずに、簡便な測定系で不透明材料の内部応力分布を可視化する。 今年度は近赤外CWレーザーを用いて、THz渦三次元計測のための基礎実験を行った。 テラヘルツ渦位相計測は、不可視かつ出力の小さいテラヘルツ波で実験系を構築する必要がある。基礎検討として比較的出力が高く取り扱いの容易な近赤外領域で基礎実験を行った。初めに、1.5 μm帯の近赤外レーザーを用いて光渦発生を行った。近赤外光渦発生のためには、ガウスビームの空間位相分布を変調し、方位角に比例した位相を付与する。用いる空間位相変調器において、表示パターンのパラメーター最適化を行なった。この結果を用いて、近赤外光渦発生に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
表示パターンの位相変調量を校正するため偏光選択制のある干渉系を構築し、位相変調量の測定を行った。また、光渦を回折光として取り出すため、回折格子パターンを用いる。このため表示パターンの格子間隔、ブレーズ量の最適化をおこなった。以上の結果を用いて光渦発生用表示パターンを最適化し、光渦発生を行った。干渉光学系によって、光渦特有のフォーク状の干渉縞を観測し、近赤外光渦発生に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は近赤外光渦を用いて光渦三次元計測系を構築し、テラヘルツ渦計測に必要なパラメータの取得を行う。この結果を用いてテラヘルツ光学系、素子の設計を行う。
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Research Products
(4 results)