2021 Fiscal Year Research-status Report
プラズモンと一分子エキシトンの強結合状態実証と一分子光異性化反応効率化への応用
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21K04935
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
伊藤 民武 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 上級主任研究員 (00351742)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 裕子 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 准教授 (00598039)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | プラズモン / 強結合 / エキシトン / 銀ナノワイヤー / 表面増強ラマン散乱 |
Outline of Annual Research Achievements |
単分子強結合が実証可能なSERSスポットの体積はナノ粒子間隙の数nm^3に制限される。この結果、分子をその場所に配置してプラズモンと強結合させることは非常に難しい。しかし、ナノ粒子間隙の代わりに銀ナノワイヤ間隙を用いればこの領域を一次元方向にを10^4倍に拡大可能となる。今年度は、この一次元スポットにおけるSERS光伝搬特性を明らかにする。将来的に分子をSERSスポットで励起しそのSERS光を伝搬させ検出する要素技術として確立することを目的に研究を実施した。第1の目標はSERS伝搬を引き起こしている銀ナノワイヤ2量体のプラズモン共鳴を明らかにすること。第2の目標はSERS伝搬を電磁解析法を用いて理論的に再現すること。 目標1(SERS伝搬特性の実験的解明)と2(SERS伝搬特性の理論的解明)を達成した。一分子SERSホットスポットの情報を従来の1万倍以上遠方に伝搬させることを顕微分光実験と電磁解析法で実証した。 実験の実施中でSERSスペクトルとプラズモン共鳴スペクトルが逸脱してゆく興味深い現象を見出した。本研究では両スペクトルがほぼ等しいこと(プラズモン共鳴によってSERSが生じるために両者のスペクトルが似た形状となる)を前提として研究計画を策定している為、この現象の原理をまずは解明する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目標の一つである一次元ホットスポットにおけるプラズモンと分子エキシトンの電磁相互作用を明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
実験の途中でSERSスペクトルとプラズモン共鳴スペクトルが逸脱してゆく現象を見出した。本研究では両スペクトルがほぼ等しいことを前提として研究計画を策定している為、この現象の原理をまずは解明した上で従来の計画であるプラズモンと分子エキシトンの強結合の研究に戻る。
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Causes of Carryover |
実験が進捗したため、顕微分光測定系の改良を次年度に行うことにした。
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