2021 Fiscal Year Research-status Report
Study on vortex cavitation flow in wall boundary layer
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21K04942
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊藤 啓 京都大学, 複合原子力科学研究所, 准教授 (50421590)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江連 俊樹 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 高速炉研究開発部門 大洗研究開発センター 高速炉技術開発部, 研究副主幹 (10421570)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | キャビテーション / 液中渦 / 壁面せん断応力 / 数値解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,液中渦キャビテーション現象を対象とした基礎実験および高精度・詳細数値解析を行うことにより,液中渦キャビテーションの発生に対して支配的であると考えられる壁面の境界層内部の流れ場構造を明らかにし,液中渦キャビテーションの発生条件を明らかにするものである.研究初年度である令和3年度は,基礎実験における感圧液晶(圧力変化による酸素分圧変化によって光の強さの変わる液晶)の検討を行うとともに,詳細数値解析における乱流モデルの検討を行った.基礎実験における感圧液晶の検討に関しては,感圧液晶による壁面上の詳細圧力計測を行うための準備として,適切な感圧液晶の選定と購入を行い,壁面圧力計測への適用性について検討を行い,基礎実験体系において十分な計測精度を有する見通しを得た.そのため,今後,渦中心近傍領域を高解像度撮影可能な光学系を構築することにより,非常に高い時間・空間分解能を有する計測系を完成することができると考えられる.一方,詳細数値解析における乱流モデルの検討に関しては,壁面境界層内部における流体力学的・熱力学的挙動を正しくモデル化することが必要不可欠であるが,渦流れの解析に関する過去の類似研究において,渦中心近傍の流れ場の再現性に対しては,乱流モデルの影響が非常に大きいことが明らかになっているため,適切な乱流モデルに関する検討を行った.その結果,文献調査等により,通常一般的に用いられる標準k-epsilonモデルは過度な乱流粘性を誘起するために不適切であり,RNG k-epsilonモデルもしくはSST k-omegaモデルの適用性が高いことが分かった.さらに,これらのモデルの定数を調節することで現象再現性が向上することが示されており,今後,基礎的な現象を対象として適切なモデル定数の検討を進めることにより,高精度な解析コードを完成することができると考えらえる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記の通り,令和3年度は基礎実験における感圧液晶の検討を行うとともに,詳細数値解析における乱流モデルの検討を行った.前者に関しては,令和4年度以降に実施する基礎実験において高精度な計測を行える見通しを得ており,後者に関しても,液中渦キャビテーションの詳細数値解析を行う上で必要となる適切な乱流モデルに関して,開発の指針となる重要な知見が得られたため,本研究は,当初の計画に対して順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
上記の通り,令和3年度の研究は順調に行われており,今後も当初の計画に沿って研究を進めていく予定である.具体的には,基礎実験に関しては,感圧液晶を用いた壁面境界層内の圧力計測実験を実施し,これまで不可能であった壁面境界層内の渦流れ構造を取得することを目指す.また,詳細数値解析に関しては,適切な乱流モデルを構築するとともに,壁面上のミクロ形状を考慮した液中渦キャビテーション発生モデル(壁面における相変化モデル)の検討を行い,基礎実験を対象とした数値解析を行う.これらの実験および解析の結果に基づく検討行うことにより,液中渦キャビテーションの発生条件に関する知見を得ることが期待できる.
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Causes of Carryover |
昨今の世界的な半導体不足により,購入を予定していた高性能計算機の価格も高騰し,予算内での購入が不可能な状況となっている.そのため,令和3年度に予定されていた高性能計算機の購入を延期し,令和4年度に実施することとした.その際,半導体価格などの変動をモニターしながら,適切なタイミングでの購入を考えている.また,基礎実験において購入を予定していた冷却CMOSカメラについても,同様に半導体価格高騰などの影響を受けて十分な性能を有する機種の購入が難しい状況となったため,購入を令和4年度に延長した.なお,状況によっては,購入からリースへの切り替えなどによって対応する可能性もある.
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