2022 Fiscal Year Research-status Report
放射線と複数ストレス曝露が及ぼす組織への影響とその予防効果の検証
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21K04943
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
片岡 隆浩 岡山大学, 保健学域, 准教授 (40509832)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山岡 聖典 岡山大学, 保健学域, 教授 (00314683)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 強制水泳試験 / 低線量X線 / アルコール / 酸化ストレス / 肝臓 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度,低線量・高線量率X線照射(約1.2Gy/m,総線量0.5Gy)と強制水泳試験(FST)後に,アルコール投与により肝臓に酸化ストレスを負荷した場合の肝障害の程度について検討した結果,アルコール投与6時間後の場合,肝機能の指標であるglutamic oxaloacetic transaminase(GOT)や glutamic pyruvic transaminase(GPT)活性は,アルコール投与に伴い増加した。FSTとアルコールを投与した場合,0.5Gy照射のGOT活性とGPT活性はsham(疑似)照射のそれに比べ高いことがわかった。そこで,今年度はアルコール投与24時間後の肝機能や抗酸化機能,線量依存性について検討した。 1群7匹とし,BALB/cマウス(8週齢,♂)の全身に0.1または0.5 GyのX線を照射した。また,対照は疑似照射した。その後,強制水泳試験を施した。これを1日1回10分間,5日連続で実施した。最後のFST終了後,50%エタノール(5.0 g/kg体重)を腹腔内投与した。最終処置から24時間後に安楽死させ,肝臓・血液を摘出し,肝機能や抗酸化機能の分析をした。 その結果,アルコール投与24時間後では,アルコール投与6時間に比べ,照射の有無および線量による有意差なく肝機能が改善した。FSTとアルコール投与6時間後では,抗酸化物質である総グルタチオン(t-GSH)量の減少したことから,酸化ストレスを受けたことがわかった。これに対して,FSTとアルコール投与24時間後では,低線量X線照射によりt-GSH量が増加(抗酸化機能が亢進)し,肝機能改善に寄与することが示唆できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
低線量放射線がアルコール投与と強制水泳試験に伴う肝臓への酸化ストレスの影響を評価できたため。さらに,他の臓器への影響についても一定の成果が得られつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
低線量X線照射と強制水泳試験が及ぼす酸化ストレスの臓器依存性についてさらに検討する。
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Causes of Carryover |
当初計画していた分析が,一部実施できなかった。次年度にその分析をする際に予算を執行する。
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Research Products
(5 results)