2021 Fiscal Year Research-status Report
Study on a new detection method for underground cavity using a neutron source
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21K04951
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
米田 政夫 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 原子力基礎工学研究センター, 研究副主幹 (90469817)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 空洞検査 / 中性子 / 中性子線源 / 回転照射 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、中性子線源を用いた新しい路面空洞探査法を開発することである。測定対象物(道路表面等)近傍で中性子線源を高速回転させながら中性子照射を行い、測定対象物から反射してくる中性子を計測することで地中空洞を直接検知する。令和3年度は、本研究手法の基本原理を調べるために、シミュレーションを用いた研究に取り組んだ。シミュレーションを用いた解析によって本手法の基礎原理を明らかにした。 シミュレーションには、連続エネルギーモンテカルロコードであるPHITSコードを用いた。中性子線源を円周上で連続的に移動させることで回転照射を模擬し、回転測定は線源の移動速度を調整することにより模擬した。令和5年度以降の実験で用いる予定である既存の回転照射装置を想定し、中性子源の回転半径は20cmとした。中性子測定は、中性子線源を回転照射装置と測定対象物(道路表面等)の間に設置する中性子検出器によって行う。この中性子検出器はエネルギーの低い中性子(熱中性子)を主に測定するものである。具体的にはHe-3比例計数管やLi入りZnS(Ag)シンチレータ―などの熱中性子検出器を考えており、シミュレーションではHe-3比例計数管を用いた。本測定では、回転照射装置中の中性子線源から発生した高エネルギー中性子(高速中性子)が中性子検出器を通過し、測定対象物に入射する。測定対象物に入射した高速中性子は、対象物中で減速して熱中性子となり、その一部が対象物から出て熱中性子検出器で検知される。本年度のシミュレーションでは、厚さ20cmのポリエチレン中に厚さ10cmの空洞層を設けた体系について計算を行い、高速回転時に空洞層の有無によって観測値が異なることを明らかにした。本年度のシミュレーション結果を踏まえ、令和5年度では実機を用いた実験に取り組む予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り、本研究手法の基本的な特性をシミュレーションによって調べることができた。また、回転照射装置、測定対象物及び中性子検出器についても模擬したシミュレーション体系を構築し、次年度(令和4年度)に実施予定の実証実験についても検討を行うことができた。以上より、本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は、令和3年度に実施したシミュレーション結果を参照し、実証実験で用いる回転照射装置、中性子検出器及び測定対象物などの整備・調整に取り組む。測定データを解析するためのデータ処理ツールについても開発する。これらの整備、開発後に実機を用いた実証実験に取り組む。 実証実験に併せてシミュレーションについても進め、それらの結果を用いてより効果的な測定手法の検討に取り組む。得られた成果について関連学会において発表を行う。
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Causes of Carryover |
理由:令和3年度に購入した「熱中性子検出器」が当初計画よりも安価に購入できたため、差額が次年度使用額として生じることとなった。 使用計画:令和4年度分研究費と合わせて、実機を用いた実証実験の環境整備に係る費用として使用する。
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