2021 Fiscal Year Research-status Report
歯の中に照射の痕跡として残された炭酸ラジカル測定による低線量計測法の開発
Project/Area Number |
21K04953
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
岡 壽崇 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 原子力基礎工学研究センター, 研究副主幹 (70339745)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 温 東北大学, 大学病院, 准教授 (50333828)
篠田 壽 東北大学, 歯学研究科, 名誉教授 (80014025)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ESR / ESR線量計測 / エナメル質 / 低線量計測法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,歯の中に照射の痕跡として残された炭酸ラジカル測定によって低線量計測法を開発することを目的としている。本手法が確立すれば,ヒトの記憶に頼った被ばく線量評価や,動物の移動の履歴を考慮しない計算手法による被ばく線量評価ではなく,対象個体の正味の被ばく線量を実測できるようになる。 本年度は,①試料前処理法のうち,ESR測定妨害要因の除去に有用なアルカリ溶液でのエッチング回数についてと,②ESRスペクトル上に現れる,ESR妨害要因のシグナルの除去について検討した。 ①については,特に野生動物においては,アルカリ処理を5時間行っただけでは妨害要因を除去できない場合が多く見られた。歯中に含まれる妨害要因の量にも個体差があるためと考えられる。妨害要因が取り除けなかった歯については,2回,3回と前処理を繰り返すことで,妨害要因を減少できることが分かった。 ②については,①の試料前処理では除去しきれない,妨害要因の可能性が考えられ,試料をよく観察したところ,歯に付着していたと予想される黒色の粉末が発見できた。これをピンセットで手動で取り除くことで,ESRスペクトル上に現れる妨害要因のシグナルを除去することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,ESR測定妨害要因の除去に有用なアルカリ溶液でのエッチング回数について検討を行った結果,2回,3回と前処理を繰り返すことで,妨害要因を減少できることが判明し,アルカリ処理を繰り返すことで,測定妨害要因を除去できるようになったことは,線量評価を実施できる個体数を増やすことに繋げることができたため,「おおむね順調に進展している。」と判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
試料前処理法および妨害シグナルの除去を適用しても,ESRスペクトル形状が改善しない個体が少ないながらもいくつか確認された。アルカリ溶液処理の時間の最適化や,妨害シグナルをフィッティング前にあらかじめ数学的に取り除く,あるいはフィッティングのアルゴリズムを改善するなどして,線量評価を行えるようにする。
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Causes of Carryover |
本年度は,新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により,予定通りに出張や国際・国内会議への参加を実施することができず,計画を変更して研究室で実施できる化学操作や測定に注力したこと及び購入を予定していた実験用消耗品についても他の研究で購入したものが流用できたことにより,予定よりも支出額が少なくなったため,次年度使用額が生じることとなった。 次年度使用額は,次年度分研究費と合わせて,次年度に予定しているESR装置のシステム改修やガンマ線照射施設使用料,国内会議への参加費及び旅費等に使用する。
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Research Products
(15 results)
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[Journal Article] Rapid analysis of 90Sr in cattle bone and tooth samples by inductively coupled plasma mass spectrometry2021
Author(s)
Kazuma Koarai, Makoto Matsueda, Jo Aoki, Kayo Yanagisawa, Motoki Terashima, Kenso Fujiwara, Yasushi Kino, Toshitaka Oka, Atsushi Takahashi, Toshihiko Suzuki, Yoshinaka Shimizu, Mirei Chiba, Ken Osaka, Keiichi Sasaki, Tsutomu Sekine, Manabu Fukumoto, Hisashi Shinoda, Akihiro Kitamura, Hironobu Abe
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Journal Title
Journal of Analytical Atomic Spectrometry
Volume: 36
Pages: 1678-1682
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Radioactivity and radionuclides in deciduous teeth formed before the Fukushima-Daiichi Nuclear Power Plant accident2021
Author(s)
Atsushi Takahashi, Mirei Chiba, Akira Tanahara, Jun Aida, Yoshinaka Shimizu, Toshihiko Suzuki, Shinobu Murakami, Kazuma Koarai, Takumi Ono, Toshitaka Oka, Joji Ikeyama, Osamu Kaneko, Makoto Unno, Kimiharu Hirose, Takashi Ohno, Yasushi Kino, Tsutomu Sekine, Ken Osaka, Keiichi Sasaki, Hisashi Shinoda
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Journal Title
Scientific Reports
Volume: 11
Pages: 10335-1-11
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] External exposure dose estimation of wild Japanese macaques captured in Fukushima Prefecture: Decomposition of electron spin resonance spectrum2022
Author(s)
Mitsuyasu Yusuke, Toshitaka Oka, Atsushi Takahashi, Yasushi Kino, Kenichi Okutsu, Tsutomu Sekine, Takuma Yamashita, Yoshinaka Shimizu, Mirei Chiba, Toshihiko Suzuki, Ken Osaka, Keiichi Sasaki, Yusuke Urushihara, Masatoshi Suzuki, Manabu Fukumomo, Hisashi Shinoda
Organizer
EPRBioDose 2022
Int'l Joint Research
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[Presentation] Interlaboratory comparison of EPR tooth enamel dosimetry with investigations of the dose responses of the standard samples2022
Author(s)
Shin Toyoda, Kazuhiko Inoue, Ichiro Yamaguchi, Masaharu Hoshi, Seiko Hirota, Toshitaka Oka, Tatsuya Shimazaki, N. Mizuno, Atsushi Tani, Hiroshi Yasuda, C. Gonzales, Kenichi Okutsu, Atsushi Takahashi, Nao Tanaka, Azumi Todaka
Organizer
EPRBioDose 2022
Int'l Joint Research
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