2022 Fiscal Year Research-status Report
既存コアとコア変形法による東北・北海道の地殻応力マップの生成と地熱開発への応用
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21K04958
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
伊藤 高敏 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (00184664)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 地殻応力 / コア / 地熱開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
他機関が過去に掘削で採取した岩石コアを入手し、その直径から地殻応力状態を評価するために、東北の八幡平地域の3カ所それぞれでJOGMEC((独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構)が掘削したヒートホール(A,BおよびC井と呼ぶ)の深度約1000~1400mの範囲で採取されたコアを既に入手した。同様に八幡平以外の東北および北海道のヒートホールで採取されたコアについても入手できる見込みを得ている。これらのコアの直径分布を測定し、その結果とコア変形法によってコア直交面内の地殻応力差を評価する作業を進めている。また、BおよびC井では、一部の深度でディスキングつまりコアが直径方向に割れて薄い円盤になる現象が起こっていた。この現象は地殻応力状態を表す1つの指標とされ、坑井軸方向と直交方向の地殻応力差が極端に大きい場合に起こると理解されている。しかし、1000mを越える大きな深度でディスキングが起こる原因は明らかではない。そこで、ディスキングと、それに隣接する正常なコアの両者を入手して、コアから得られる地殻応力情報と数値シミュレーションに基づいてディスキングの発生原因を調べている。これが明らかになればとコア変形情報を組み合わせることで地殻応力状態を評価する解析を進めている。一方、コア形状から地殻応力差を求める際には、コアのヤング率が必となる。その測定を行うには、コアから円柱試験片を切り出し、それで一軸圧縮試験を行うという煩雑で時間を要する作業が必要となる。また、このことが原理的には非常にシンプルなコア変形法を煩雑にする要因となっている。そこで、より簡便にコアのヤング率を測定する方法を考案し、まず既存の装置を応用して検証した。これによれば、コア表面にひずみゲージを貼り付けるだけで、非破壊で測定することが可能となる。この結果を踏まえて、その方法を実行する専用の測定装置を昨年度に完成させた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、掘削で採取された深部岩石の円柱状試料から同岩石があった場所の地殻応力を求め、そのマップを作成することを目的にしている。その成否は、異なる位置で深部のコアがいかに多く得られるかどうかに依存している。これに対して、5つの異なる地域で掘削された7本の坑井で採取された深部コアを既に入手/入手見込みとなっており、それを用いた地殻応力評価を順次行っている。この状況から、順調に研究が伸展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の推進に支障となる課題はなく、計画に従って作業と解析を進める。
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