2023 Fiscal Year Annual Research Report
既存コアとコア変形法による東北・北海道の地殻応力マップの生成と地熱開発への応用
Project/Area Number |
21K04958
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
伊藤 高敏 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (00184664)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 地殻応力 / コア / 地熱開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は栗駒地区の地熱地域にある調査井(D井)で採取されたコアの直径測定および同坑井と昨年度までに直径測定が完了している八幡平地域にある3本の調査井(A,BおよびC井)で採取されたコアのヤング率測定を実施し、それらの結果に基づいて地熱地域の地殻応力を評価した。ここでヤング率の測定には、昨年度に構築した方法を適用した。この方法では、従来法のように追加の試験片加工を要せず、コアをそのものに周圧を負荷する力学試験によってヤング率を求められる。これによって得られたコア直径の結果は以下の通りであった。栗駒地区にあるD井の深985と993mから採取された2つのコアの直径差は50~100μm、八幡平地域にあるA井の深度799~1094mから採取された4つのコアの直径差は100~300μm、B井の深度30~904mから採取された7つのコアの直径差は10~300μm、C井の深度1410~1997mから採取された7つのコアの直径差は20~40μmとなり、坑井および深度によってばらつきが大きかった。一方、ヤング率の測定結果は以下の通りであった。栗駒地区にあるD井では300~400MPa、八幡平地域にあるA井では900~2000MPa、B井では100~4000MPa、C井では5000~10000MPaとなり、これについても坑井および深度によってばらつきが大きかった。ただし、それぞれの直径差とヤング率を比べると逆相関の関係があり、硬いコアでは変形が小さく,軟らかいコアでは変形が大きかった。その結果、いずれの坑井でも水平面内の地殻応力差が深度数10から2000mの間で1から5MPa程度まで増加する傾向にあることがわかった。深度2000mで5MPaという地殻応力差は通常よりもだいぶ小さく、また、異なる場所で同様な結果になったことから、その小ささが地熱地域の形成機構と関係している可能性が考えられる。
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