2021 Fiscal Year Research-status Report
風力エネルギーを省エネに活用することで超高効率利用する煙突型排気システムの開発
Project/Area Number |
21K04967
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
渡邉 康一 九州大学, エネルギー研究教育機構, 准教授 (30811799)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 風力 / 省エネ / 煙突排気 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終目標は、工場の煙突や地下道路の換気塔などの排気用タワーに用いられる強制排気用のファンの消費電力を大幅に省エネするために、「小さくて高効率」,かつ「風向に影響を受けない」創風構造体の形状を「発見」し「実証」することである.2021年度は創風構造体のプロトタイプ形状の選定のため,風洞実験と数値シミュレーションを実施した. 風洞実験では,鉛直方向に切込み形状をもつタワーモデルを用いて,形状を様々に変化させてパラメトリックスタディを行い,タワー内部の流速を測定することで,各タワーの創風性能を評価した.その結果,切込み形状を持つタワーのみの場合は,タワーに対する風向によって内部上昇風の創風性能が大幅に低下するのに対し,切込みの外側にガイド板を設置した場合は,風向に依存せずに高い創風性能が維持されることを発見した.また,この効果はガイド板の幅に依存するが,ガイド板の幅が切込み幅と同程度以上確保されれば得られることが分かった.さらに,タワー内に実際に排気用のファンを設置し,ファンの消費電力を測定したところ,タワーに風を与えた場合には,確かにファンの消費電力が抑えられ,省エネの効果があることを実証した. 数値シミュレーションでは,切込みを持つタワーと,切込みの外側にガイド板を設置したタワー周りの流れ場を計算,解析して比較した.切込みのみを持つタワーの場合,風が切込みからタワー内に流入する方向に吹いた場合,タワー内の圧力が上昇してしまい,タワー内部上昇風の生成を阻害することが分かった.一方で,ガイド板を設置したタワーの場合は,タワー内への風の流入をガイド板が防ぎながら,タワー側面,及び内部に低圧領域を生成し,効果的にタワー内に創風できることを明らかにした. 加えて,タワー内流れの理論的定式化につながる,つば付きディフューザ風車の簡易理論を構築した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度~2022年度の研究計画は,高効率にタワー内に風を創り出し,かつなるべく小さな付加構造体形状を見つけるため,風洞実験と数値シミュレーションによるパラメトリックスタディと流れ場の解析を実施すること,かつ実験でファンを実際に設置し,消費電力が省エネできることを実証することであった. 2021年度は風洞実験によるパラメトリックスタディと,数値シミュレーション流れ場の解析を予定通り進めることができ,風向に影響を受けない創風構造体の形状を発見することができた.また,実験ではファンを実際に設置し,消費電力が省エネできることも実証できており,計画通り研究は進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度~2023年度の研究計画は以下の通りである. <野外実験による実証> 風洞実験と数値シミュレーションによって発見した基本形状の創風性能を,野外の風速と風向がともに変動する風況下で実証試験する.また,風洞実験と比べてタワーが大きくなるため,流体の粘性の影響が変化すると考えられる.このスケール効果についても実証する. <理論づけによる、省電力量予測法の確立> 風洞実験と数値シミュレーション,および野外実験の結果を元に,当該集風構造体を既存のタワーに設置した場合の省電力予測法を,タワー内流れの理論的な定式化に基づいて確立する.これにより,実際のサイトに設置した場合の効果を算出できるようにする.
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