2021 Fiscal Year Research-status Report
透水性き裂3次元分布推定フルポラリメトリックMIMOボアホールレーダと実証実験
Project/Area Number |
21K04969
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Research Institution | Osaka Electro-Communication University |
Principal Investigator |
海老原 聡 大阪電気通信大学, 工学部, 教授 (20301046)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ボアホールレーダ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、送信側6素子、受信側6素子をもつMIMO型ボアホールレーダを開発することを目標としている。2021年度は、坑井内に挿入可能なレーダゾンデの試作を行った。坑井内の送信アンテナ側では、20 dBm の送信パワーで、同時に2素子が同時に電磁波を送信可能にするため、送信アンテナ用地中部ユニットの設計と試作を行った。この仕様としては、6素子への給電が可能なように高周波スイッチを内蔵し、増幅器、方位計および重力計も装備した。これらの動作用電源は地表から同軸ケーブルで供給する。一方、ボアホールレーダで内蔵するアンテナについて、ダイポールアレーとループアレーの混合型とダイポールアレー2組の単一型の2つの設計と試作を行った。これらのアンテナとレーダシステムの性能評価を実施するため、大阪電気通信大学寝屋川キャンパス内に造成した坑井でボアホールレーダ計測を実施した。まず、坑井内にある送信アンテナから到来する直接波に対し、別の坑井内にあるループアレーアンテナによって、水平偏波をもつ直接波の到来方向2角(方位角、仰角)を推定できることを実証した。さらに、坑井内に3次元的に配列したダイポールアレーによっても、同様に、送信アンテナからの直接波の方向(2角)推定ができることを確認した。このあと、物体からの反射波測定を行うレーダ計測を行った。地中に鉛直方向と45°方向に傾斜した導体円柱からの反射波の測定を、2つの型のアンテナをもつボアホールレーダによって行った。ここでは、物体上の反射点の3次元位置推定、反射波の偏波状態推定を行った。実験結果によると、傾斜導体円柱の場合で、波の偏波が斜めに傾いた場合で、方向推定に10°程度の誤差が出てくることが判明した。これは、アンテナ周囲に存在する円筒状境界面による影響とみて、2021年度末時点で調査中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた送信アンテナ用ユニットの試作、アンテナの設計試作およびレーダシステムの性能評価実験を実施できたため、順調に進展していると考えた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、予定通り、断層に貫通した坑井内が存在する鉱山内で断層計測の実証実験を行う予定である。なお、コロナ蔓延等により、フィールド計測が行えない場合には、大学構内に造成した坑井で代替の実験を行う方向で計画しており、研究の進行に支障がないようにする。
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Causes of Carryover |
「2021年度ダウンリンクの開発・作業」により作製した地中部ユニットでは、このシステムのマイコンプログラミング開発を大学側が請け負うことで支出を大幅に節減することに成功した。一方、2022年度は学外での断層計測を計画しているが、この実施には、2022年度に交付される30万円では実施困難である。しかしながら、2021年度の節減により生じた「次年度使用額」により、予定通り、学外での断層計測ができる見込みとなった。
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