2021 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of novel states of adsorbed molecules in nanospaces at high temperature and high pressure
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21K04977
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
飯山 拓 信州大学, 学術研究院理学系, 教授 (30313828)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二村 竜祐 信州大学, 学術研究院理学系, 助教 (90647223)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 物理吸着 / X線回折 / 動径分布関数 / 高温・高圧 / in situ測定 / 二酸化炭素 / ナノ空間 / X線小角散乱 |
Outline of Annual Research Achievements |
物理吸着現象の機構解明は多孔体を用いた有害物質除去、エネルギー分子の貯蔵等の応用のために重要である。特に、室温を超える温度での物理吸着現象の機構解明は、吸着量が少なく、実験的に困難であることからほとんど進んでいない。本研究では、高温・高圧対応の in situ 測定セルを開発し、申請者らがこれまで行ってきたX線による微小空間中の分子のミクロ・メソスコピックな検討を高温領域に拡張する。室温から臨界温度に至る温度領域では、その吸着機構が変化することが予想される。申請者がこれまでに培った技術を組み合わせながら、高温における特異な物理吸着現象の探索および機構解明を行う。 令和3年度は、高圧高温対応セルの設計・制作を進めるとともに、重要なターゲット分子である二酸化炭素の3気圧までの圧力、および室温~低温領域での細孔内構造解析を行った。また物理吸着機構解明の基礎となる標準分子である窒素およびアルゴンの細孔内構造解明を行った。 高圧高温対応セルは設計を完了し、最初の試作セルの製作までを進めることができた。セルについては想定した角度範囲のX線散乱強度を取得できることを確認した。また、活性炭を吸着媒として、XRDの実測とリバースモンテカルロ法の適用により、二酸化炭素の細孔内アモルファス構造を明らかとするとともに、擬2次元構造の形成を見出した。細孔内の窒素、アルゴン構造についても動径分布関数を用いた定量的な解析を進めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高圧高温対応セルは設計を完了し、最初の試作セルの製作までを進めることができた。また、二酸化炭素の細孔内アモルファス構造を明らかとするとともに、擬2次元構造の形成を見出した。窒素、アルゴン構造についても動径分布関数を用いた定量的な解析を進めることができた。二酸化炭素、および窒素、アルゴン構造解析については本研究目的の基礎となる成果であり、新規の知見も含んでいたことから、2本の学術論文として取りまとめ、発表した。以上より、研究計画は順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
製作した試作セルを用いて、微小空間中のミクロ・メソスコピックな検討をより高温・高圧領域に広げる。二酸化炭素で見いだされた擬2次元結晶構造は実用上重要なため、さらに細孔形状の影響等の解析を進める。
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Causes of Carryover |
必要物品のうち、真空ポンプを研究の進展に合わせ発注したが、納期の遅れのために年度内に購入することが出来なかった。そのため、該当分の研究費を翌年度に繰り越した。同物品は研究に不可欠なものであるため、納品が可能となり次第、新年度開始のできるだけ早い時期に購入する。
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