2022 Fiscal Year Research-status Report
Quantitative prediction of reaction mechanisms catalyzed by metalloproteins and of protein-ligand interactions
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21K04985
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
齋藤 徹 広島市立大学, 情報科学研究科, 准教授 (80747494)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 金属酵素 / 量子/古典混合分子動力学 / 反応自由エネルギー曲面 / 結合親和性 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、初年度に構築した量子力学/古典力学混合分子動力学(QM/MM MD)シミュレーション基盤技術を活用し、金属酵素ウレアーゼの様々なウレアーゼ阻害剤(ヒドロキシ尿素、AHA、NBPTO)の結合様式ならびに阻害機構の研究を実施した。QM/MM メタダイナミクスシミュレーションから各阻害機構における活性化自由エネルギーおよび反応自由エネルギーを算出し、NBPTO > AHA > ヒドロキシ尿素の順に酵素-阻害剤複合体を形成しやすい(結合親和性が高い)ことを定量的に示すことができた。また、これらの結果と阻害能の指標となる実験値(IC50値)との間に強い相関関係が見られたため、生体分子シミュレーションの結果をもとに優れた阻害剤設計が可能であると言える。研究成果は学術論文誌Molecules誌に掲載され、一連の成果により2022年度の日本蛋白質科学会若手奨励賞を受賞した。本研究課題に関する内容で、国内会議において招待講演を2件行った。インドールアミン-2,3-ジオキシゲナーゼによる一重項酸素生成機構については、第55回酸化反応討論会等で成果発表を行った。
ニューヨーク市立大学のLiuグループとの国際共同研究では、Watson-Crick型塩基対におけるグアニンラジカルカチオン種と一重項酸素との反応について、実験と高精度量子化学計算を用いて解明した。研究成果は学術論文誌Journal of Physical Chemistry B誌に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
加水分解を触媒する金属酵素ウレアーゼについて、2022年度の目標に設定していた、「競合的阻害剤候補化合物との結合様式、結合親和性の違いを定量的に明らかにし、阻害剤の設計指針を得る」を達成することができた。一方、(i) 銅や鉄などの酸化還元反応活性な金属イオンを中心金属とする金属酵素のシミュレーションについては、方法論自体(近似スピン射影QM/MM MD)は確立しているものの、多くの時間を要している。シミュレーション以外にも(ii) 機械学習モデルを用いた金属酵素反応の反応部位予測も進めている。(i), (ii)に関して学会発表を何件か行ったが、論文発表にはもう少しデータが必要な状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの進捗状況に記載した、(i) 金属酵素による酸化反応のシミュレーション、(ii) 機械学習モデルを用いた金属酵素反応の反応部位予測の研究を完成させ、学術論文誌に発表する。可能であれば、次のステップである(i), (ii)を組み合わせたアプローチに取り組む。具体的には、シミュレーションから算出された活性化自由エネルギーや反応自由エネルギーを目的変数とした機械学習を行い、実験値が得られにくい酵素反応の反応予測モデルの構築を目指す。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため国内外への出張を控えたため。次年度は、国内外で実施予定の学会への参加費と旅費、およびオープンアクセス費にあてる予定である。
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Research Products
(24 results)