2021 Fiscal Year Research-status Report
担持触媒接合界面における原子間隔や原子欠損の触媒活性に与える影響の理論的研究
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21K04994
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
奥村 光隆 大阪大学, 理学研究科, 教授 (40356712)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 触媒表面の構造活性相関 / 貴金属クラスター / 理論計算 / 酸素分子活性化 / ソフトルイス酸的触媒反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
易還元性酸化物が担体の場合には、Mars von Klevelin (MvK) 機構と呼ばれる格子酸素が反応に関与した触媒反応が起こる。この系では化学量論比からずれた状態が重要になる。生成した酸化物表面欠損サイト近傍に酸素分子が吸着すると、この酸素分子は電子を担体から受容することによって活性化される。しかし、その状態は、酸化物担体の種類によって大きく異なるものと考えられる。生じた活性種が、負に大きく帯電した酸素種と比較的中性的な酸素種では部分酸化反応において、C=C二重結合の炭素結合の片方の炭素に付加されるか炭素間に挿入されるかのような差異が生じるため、最終生成物に大きな違いが生じる。そこでプロピレンのエポキシ化反応のチタニア表面の還元構造を題材として理論的研究を実施した。その結果、還元表面を生成するためには、単純な酸素欠損生成よりも表面酸素に水素が付加し、水分子が酸素欠損サイトに付加したような構造が、酸素を直接引き抜くよりも安定的に表面を還元状態にすることが出来、隣接チタン原子を還元し、そのサイトが活性酸素種を生み出すことの出来る活性点となることを理論的に確認できた。現在、活性酸素種の安定性についても検討中である。 また、基質などの吸着なども含めた複雑な表面構造に対して、当研究室で開発中のDFT計算を基にしたニューラルネットワークポテンシャルANI-1を用いた疎視化分子動力学シミュレーションを用いて、白金表面上での解離水素原子と不飽和炭化水素分子の吸着挙動に関して、実験結果を合理的に解釈できる表面構造をモデル化することが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
活性酸素種の生成に関する理論的な知見が得られているとともに、研究計画では後期に実施する予定であったDFT計算を基にしたニューラルネットワークポテンシャルANI-1を用いた疎視化分子動力学シミュレーションを計画を前倒しにして実行することが出来た。また、他の反応機構に関する原子欠損の影響に関しても基礎的なデータを徐々に蓄積できてきており、着実に計画を遂行している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在進行中のプロピレンのエポキシ化反応に関して、さらに進展させていくとともに、他の触媒反応系に関しても検討を加速させていく予定である。特にPd触媒によるアルケンのアセトキシ化反応や金触媒におけるDABE異性化反応についての酸素分子の影響などの研究をさらに進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
本年度、予定していた国際会議が、現地開催ではなくオンライン開催となったことと、当初予定していた物品の購入が、昨今の半導体不足により購入物品を変更したことによる。
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