2023 Fiscal Year Annual Research Report
精度保証を考慮したオンライン機械学習型軌道非依存密度汎関数理論の開発
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21K04998
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
清野 淳司 早稲田大学, 理工学術院, 准教授(任期付) (60580371)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 軌道非依存密度汎関数理論 / オンライン機械学習 / モデル適用領域 / クラスタリング / シンボリック回帰 |
Outline of Annual Research Achievements |
密度汎関数理論(DFT)は電子状態を得るための実用性の高い計算方法であり、現在の化学・物理の分野における電子状態計算の多くの場面で使用される。本研究では、膨大な分子の密度情報データベースとインフォマティクス技術を融合することで、常に学習し汎用性を向上し続けるオンライン機械学習型軌道非依存DFTを開発した。これにより、あらゆる分子に対して(高汎用性)、1 kcal/mol以下の誤差である化学的精度を保証した(高精度)、大規模電子状態計算(高速)が実現できる。さらに、学習の途中段階で未知分子に対する精度保証を与える手法の開発も行った。 2023年度は2022年度に開発した「クラスタリングを用いて所望の分子/物性の計算精度を事前に推定可能な手法」を種々のDFT汎関数および機械学習ポテンシャルに適用した。その結果、どのような周辺環境にある原子に対して、どの汎関数を用いれば高い精度で計算可能であるか、またその原因について議論できた。 また膨大なデータから物理的に意味のある明示的な数理モデルを自動的に構築することが可能な人工知能技術「シンボリック回帰」を用いて、基本的なベンチマーク関数や無機材料に対し、構築された予測モデルの外挿性を検証した。その結果、機械学習と比較して高い外挿性を有することが示された。 本研究で開発した、学習データに対する適用範囲領域の決定と構築した予測モデルに対する事前推定の二つの手法により、従来のまたは機械学習を用いたDFT汎関数、機械学習ポテンシャルなどに対して、未知分子の計算精度を保証できる方法が確立された。またシンボリック回帰により、比較的少ないデータから、物理的に意味があるより複雑かつ汎用性の高いDFT汎関数を構築できる可能性を示した。将来的に複雑な数理モデルを表現できるシンボリック回帰の完成により、厳密に近い明示的な軌道非依存DFT汎関数の構築が期待される。
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