2022 Fiscal Year Research-status Report
Mechanistic Insights into metal- and enzyme-catalyzed reactions using hybrid quantum chemical and information science approaches
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21K05016
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
森 聖治 茨城大学, 理工学研究科(理学野), 教授 (50332549)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 触媒反応 / 密度汎関数法計算 / 非共有結合相互作用 / QM/MM法 / 酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、高精度量子化学計算と情報科学的解析を融合させることで、金属を用いた均一的触媒反応および酵素反応機構の非共有結合性相互作用、添加物の効果、立体配座によるエネルギー分布をはじめとした統計力学的効果および動力学効果の役割を明確にすることを目的とする。2022年度の実績として、Rh触媒によるN-8-Aminoquinolinyl Aromatic AmidesのC-H結合活性化に始まるα―マレイミドとのカップリング反応で、アルキル化が進行したことを踏まえたDFT計算を行い、芳香族アミド・オルトC-H結合の酸化的付加が、turnoverを決定する段階であることを示した。この反応で添加物の効果などを明らかにした。イリジウム(III)ーサレン錯体を触媒とするジアゾ化合物とエチルベンゼンおよびその誘導体との反応で、99%eeの高い選択性でカップリング生成物が得られることに対し、カルベンが結合したイリジウム(III)ーサレン錯体の構造における立体配座をDFT計算で予測したほか、C-H結合のカルベン挿入反応が、協奏的に起きることをモデル系で明らかにした。さらに、フェレドキシン依存酵素PcyAの基質ビリベルジン(BV)に近い位置にあって反応に関与するアスパラギン酸105番残基をアスパラギンに置換した変異体、あるいはイソロイシン86番残基をアスパラギン酸に置換した変異体の中性子構造解析および、可視紫外吸収スペクトルの変異体における変化について、QM/MM計算によって検討し、また基質BVのプロトン化状態との関係について報告した。銅(I)―フェノキシルラジカル錯体の可視紫外吸収スペクトルを測定し、TD-DFT計算で解釈を行い報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の成果として、学術誌論文4報に掲載されたほか、理論・計算化学者最大の国際会議、WATOC(カナダ)での招待講演1件を行い、国際的な情報交換を行った。情報科学を取り入れたデータの解釈については引き続き研究を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、量子化学計算、分子動力学シミュレーション、機械学習処理などを組み合わせてバナジウムオキソ触媒やパラジウム金属触媒による分子変換反応機構の解明と、合成困難な有機化合物の合成設計、酵素の機能や反応の解明などを行っていく。その際、実験データをきちんと理解し解釈することが大事である。パラジウム触媒によるC-H結合活性化反応及び、バナジウムオキソ触媒によるカップリング不斉反応の解析は、学術誌論文を執筆中で、投稿する予定である。またRhを含む人工酵素の環化反応の活性における部位特異的突然変異の影響についても、情報科学的手法を用いながら解析中である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は90000円強であるが、新型コロナウイルス感染によって、研究協力者(大学院生)の学会発表がオンラインになったためである。次年度は、研究最終年度でもあり、研究成果発表に使用することを計画している。
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Research Products
(16 results)