2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of rigid macrocycles for easy vitrification
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21K05029
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Research Institution | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
Principal Investigator |
所 雄一郎 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 応用科学群, 講師 (80709692)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 有機ケイ素 / 分子性ガラス / マクロサイクル / 有機結晶 / 蛍光 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き,アントラセンの片面をビアリール型の架橋鎖で被覆した分子を合成し,その結晶化およびガラス化の挙動を調査した。今年度は,分子を球状に近づけ,ガラス転移温度を上昇させることを目的としてビアリールの3位および3’位にトリメチル基を導入した。 ビナフチル体のラセミ混合物およびビフェニル体では溶媒分子を取り込んだ単結晶が得られ,トリメチルシリル基の導入によりマクロサイクル分子のみでの規則的な配列が妨げられていることが示唆された。また,溶媒を除去したそれらの粉末試料の熱分析を行うと,融点が300 ℃以上であり,融液を冷却する方法でのガラス化には至っていない。 光学活性なビナフチル体の場合には,溶液からの溶媒除去によりガラスが得られた。そのガラス転移温度はトリメチルシリル基が無い化合物と比較して上昇していた。ガラスは緑色発光を示したため,がラス内ではアントラセン環どうしが接近し,励起によりエキシマーが形成されていると考えられる。また,液-液拡散等により結晶の作成を試みているが,現状では結晶が得られていない。エタノール等の貧溶媒に加熱溶解させた後に冷却することでゲルが得られた。このゲルの発光色は青色であったため,溶媒分子の存在によりアントラセン環どうしの接近が妨げられていることが示唆された。以上の結果より,光学活性ビナフチルにトリメチルシリル基を導入することにより,結晶化が抑制されるとともにガラス転移温度が上昇することが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度よりもガラス化しやすく,ガラス転移点が高い分子の創出に成功したため,進捗状況は順調であると言える。しかしながら,その原因については不明確な部分があり,分子構造とガラス化のしやすさおよびガラス転移温度の関係を明確にしていくための研究を引き続き進めていく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに得られている化合物の結晶化およびガラス化について詳細に検討を行い,X線回折や発光スペクトルにより試料中の分子配向を明らかにする。また,置換基として,より大きなシリル基やアリール基を有する分子の合成を試み,分子構造とガラス化のしやすさの関係についての調査を行っていく。さらに,架橋鎖に軸不斉ではなく,置換基の位置の違いや不斉中心により対称性が低下したマクロサイクルの合成を行い,不斉中心がガラス化のしやすさに及ぼす影響について検討する。
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Causes of Carryover |
業者間の見積合せを行った結果,契約額が想定金額を大きく下回ったため次年度使用額が生じた。この研究費は,ガラス化挙動を深く理解するための新規化合物合成に必要な試薬類の購入に使用する予定である。
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