2022 Fiscal Year Research-status Report
フレシブルな鎖状キラルホストによるキラルカチオン認識とその円偏光発光挙動
Project/Area Number |
21K05030
|
Research Institution | Osaka Research Institute of Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
靜間 基博 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 森之宮センター, 研究部長 (40416318)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 喜胤 近畿大学, 理工学部, 准教授 (80388496)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 円偏光発光 / 分子認識 / ホスト-ゲスト化学 / キラリティー |
Outline of Annual Research Achievements |
円偏光発光(CPL)特性を有するフレキシブルな構造を有する分子認識化合物を合成し、ゲスト化合物の添加で容易にCPLのキラルスイッチングおよび発光波長制御ができる材料の創製を目的とする。今年度は前年度分子設計および合成法ルートの確立が出来た分子認識化合物の合成ルートの改良とキラル分子認識能の評価を行った。 合成ルート内のグリコシル化反応を工夫することで収率がこれまでより15%程度向上することができた。 合成したフレキシブルな構造を有する分子認識化合物はバインディングサイトにオキシエチレン鎖を有しており、そこにカチオンゲスト(カルシウムイオンおよびカリウムイオン)を加えてNMR測定したときにオキシエチレン鎖のシグナルが位置特異的にシフトしていることから、錯形成することが確認できた。また、末端のピレンシグナルの高磁場シフトにより、擬似環状構想になっていることが示唆された。そこで質量分析法を活用して、光学活性有機カチオンであるアミノ酸エステルアンモニウムイオンに対するキラル識別能を評価した。この評価法ではゲストのエナンチオマーの一方に重水素標識したものを用い、これと対となるエナンチオマーとの等モル混合物を調製し、そこに競争条件を維持するように分子認識化合物を加えてマススペクトルを測定する。観測されるマススペクトル上の2本のホスト-ゲスト錯イオン(擬ジアステレオマーの関係になる)ピークの相対強度値からキラル識別能を評価する。用いたすべてのキラルゲストとの間で錯イオンが観測された。また、大きなピレン骨格(発光部位)を両末端に有するが、それが立体障害として働かず、予想通りにアミノ酸エステルアンモニウムイオン類に対してキラル識別能を示すことが見いだせた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
合成収率が低いので、分子認識や発光挙動の調査に供する試料量が十分に得られないため。今年度は合成ルートの改良を試みた結果、合成スケールを上げれる目途がたったので、最終年度に目的を達成できる予定。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在、バインディングサイトの長さが異なる円偏光発光を有する分子認識化合物の合成スケールを大きくすることに注力している。これを早急に達成し(具体的には年度前半)、合成した化合物の円偏光発光や外部刺激による発光挙動制御に関する研究を実施する予定である。また、バインディングサイトのない発光部位だけを有するリファレンス化合物も合成し発光挙動を評価し、分子認識による効果を明らかにする。また、現在の分子設計した化合物よりもさらにカチオンとの親和性が高い化合物の分子設計も行ったので、その合成を進める。これによりキラルゲストを加えてキラリティースイッチングや発光波長制御のできるシステムを確立する。
|
Causes of Carryover |
今年度に予定していた円偏光発光に関する実験が次年度にずれ込んだこと、および、新型コロナ感染症禍により予定していた学会発表が実施できなかったため。
|
Research Products
(5 results)