2021 Fiscal Year Research-status Report
Development and Application of Azulene-Fused Polycyclic Aromatic Compounds Exhibiting Characteristic Optical Properties
Project/Area Number |
21K05037
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
庄子 卓 信州大学, 学術研究院理学系, 准教授 (60581014)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アズレン / 縮環アズレン / 多環式芳香族化合物 / 有機電子材料 / 発光性色素 / エレクトロクロミズム |
Outline of Annual Research Achievements |
共役系が拡張したアズレン縮環型多環式芳香族化合物を構築することで電気化学的な酸化還元反応に対して高い耐久性を有し、且つ顕著な色調変化を示すエレクトロクロミズム分子およびπ共役系の拡張に基づく近赤外領域での吸収やハロフルオロクロミズムを示す機能性色素を開発し、有機機能性材料として応用展開することを本研究の目的とした。 本年度は、種々の芳香環が縮環したアズレン誘導体を合成し、それらの分光学的特性ならびに電気化学特性を評価した結果、これらの誘導体は酸性溶液中で顕著に色調が変化するハロクロミズムを示すことが明らかとなった。また発光挙動についても検討を行った結果、アズレン誘導体としては比較的高い量子収率ならびに蛍光寿命を示すことが明らかとなった。さらに、分光電気化学測定によるエレクトロクロミズム挙動について検討した結果、可視領域において、可逆的且つ大きな吸収帯のスペクトル変化を示すことが明らかとなり、有機機能性材料への応用に興味がもたれる結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、『アズレンが縮環した多環式芳香族化合物の合成法の開発と物性解明』に取り組んだ。我々の以前の研究で開発した手法を応用して2,3-(1-アズレニル)ベンゾフランを合成した後、これをBrønsted酸存在下で加熱することで電子環状反応が進行し、高度に共役系が拡張したアズレン縮環型多環式芳香族化合物へ誘導できることを明らかにした。また、これらの化合物の光学特性や電気化学特性について評価を行った結果、紫外可視吸光光度法において近赤外領域にまで吸収帯が及びことが明らかとなった。さらに酸性条件下ではアズレン部の5員環のプロトン化によるアズレニウムイオンの生成により、長波長部に吸収帯を生じる顕著なハロクロミック挙動が観察され、発光挙動についても検討を行ったところアズレン誘導体としては類例が少ない赤色発光を示すことが明らかになった。 2H-シクロヘプタ[b]フラン-2-オン類とテトラロン誘導体から調製したエナミン類との[8 + 2]環化付加反応を起点として、アズレン環部に種々のアリール基を有するナフトアズレン誘導体を合成し、その光学特性について検討した。その結果、これらの誘導体は酸性溶液中で顕著に色調が変化するハロクロミック挙動を示すことが明らかとなった。また発光挙動についても検討を行った結果、アズレン誘導体としては比較的高い量子収率を示すことが明らかとなった。 テトラシアノブタジエンならびにジシアノキノジメタンが置換したアズレン縮環フタルイミド誘導体の合成を行い、その光学特性および電気化学特性について評価した。その結果、これらの誘導体は可視領域に強い吸収帯を示し、大きなモル吸光係数を有することが明らかとなった。また、エレクトロクロミズム挙動について検討した結果、可逆的且つ大きな吸収帯のスペクトル変化を示した。この研究成果については現在、論文への投稿準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、『アズレン縮環型多環式芳香族化合物の合成法の開発と物性解明』を継続し、官能基化されたアズレン縮環多環式芳香族化合物の合成を行い、その物性解明を重点的に実施する。また、本年度に合成法を開発したベンゾフラン縮環アズレン類、ナフトアズレン類やアズレン縮環フタルイミド誘導体を前駆体とした縮環アズレン誘導体への変換ならびに複素環縮環アズレン誘導体の合成法の開発も継続して研究を進める。これら新規に合成した縮環アズレン類の分光学的性質評価のため、各種スペクトル測定、量子化学計算さらに電気化学測定を行い、その物性評価を行う計画である。また本年度の研究成果のまとめも平行して推進する。
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Causes of Carryover |
昨年度においては、昨今の感染症の問題のため研究活動を縮小、一時停止せざるをなり、また当初参加を予定していた学会が延期されて参加出来なくなったため、当初見積額から予算を繰り越すことになった。当該年度に生じた繰越経費は本研究課題の目的を達成するため、本年度にフラスコ類・クロマト管・還流冷却管等のカラス器具ならびに合成および測定用試薬、クロマト用充填剤としてシリカゲル・アルミナの購入として適切に使用する計画である。また、学会発表および論文投稿経費等の研究発表経費としても使用する予定である。
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Research Products
(12 results)