2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21K05039
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
前田 千尋 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 助教 (80581371)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ヘリセン / カルバゾール / 円偏光発光 / ホストゲスト |
Outline of Annual Research Achievements |
ヘリセンはベンゼン環あるいはヘテロ環がオルト位で縮環することで螺旋状に共役系が拡張したキラルπ共役系化合物であり、不斉触媒や円偏光発光(CPL)材料として注目されている。最近申請者は短工程高収率(市販品から2段階90%収率)での新規アザヘリセンの合成を報告した。窒素部位は官能基化、プロトン化、金属配位が容易にでき、窒素の電子供与性のため特定の位置での置換基導入も可能である。キラルなカルバゾールと見なすことができることからも、今後様々な応用展開が期待される。そこで本研究ではキラル補助基を導入したアザヘリセンを合成し、ジアステレオマーの関係となったP体とM体をシリカゲルカラムで分取し、それぞれの光学活性体を用いて環状多量体を合成し、キラル光学特性を評価することとした。前年度までにキラル補助基を導入したアザヘリセンを合成し、P体とM体をシリカゲルカラムで分取した。さらにアセチレンを導入したのちGlaserカップリングを行うことで、ブタジインで架橋した環状二量体を合成した。多量化によってg値は維持しつつ発光やCPLの波長が長波長シフトすることがわかった。本年度はキラルな環状二量体の内部空間を利用したゲスト認識を調査したところ、選択的なフッ化物イオン認識ができることを発見した。その会合定数は最大200000と算出され、2点の水素結合による認識としては非常に高い値であった。さらにフッ化物イオン添加によりスペクトルの大きな長波長シフトが起こり、赤色発光およびCPLを可能とした。
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