2021 Fiscal Year Research-status Report
Synthesis and properties of stable radicals derived from azulene-based chiral helicene compounds
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21K05041
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
谷 文都 九州大学, 先導物質化学研究所, 准教授 (80281195)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ヘリセン / ラジカル / アズレン / 酸化 / 電子スピン / 不斉 |
Outline of Annual Research Achievements |
ナフタレンの構造異性体であるアズレンは分極したπ電子系に由来する特徴的な性質を持ち、特に1,1'-ビアズレンは比較的安定なカチオンラジカルを生成するという性質が知られている。以前に,我々は、1,1’-ビアズレン誘導体のカチオンラジカルが共鳴構造の寄与により比較的安定である点に着目し、1,1’-ビアズレンとイソベンゾチオフェンから構成されるAIBTh (bisazulenoisobenzothiophene)のカチオンラジカルを室温、空気下で安定な固体として単離することに成功した。 本研究では,ヘリセンのカチオンラジカルのさらなる長期安定化を目指して,反応性が高いアズレンの3,3’位に立体保護基となるアセチル基、フェニルチオ基を導入し、比較検討した。合成した化合物は、1,1’-ビアズレンとナフタレンからなるANap-H, Ac, SPh(OMe), SPh(tBu) (bisazulenonaphthalene)の4種類である。これらの化合物は、光学活性HPLCを用いて右巻き(P体)と左巻き(M体)のエナンチオマーに光学分割し、室温条件では十分に安定なキラリティを示した。また、電気化学測定では、いずれの化合物においても可逆な一電子酸化波が得られた。電気化学的および化学的酸化により、カチオンラジカルが生成することがESRスペクトルや紫外可視吸収スペクトルによって確認された。さらに、化学的酸化によって生成したカチオンラジカルの溶液中の安定性を比較したところ,アズレンの3,3’位に置換基を有しないANap-Hのカチオンラジカルが最も安定であった。アセチル基、フェニルチオ基は電子求引性であるため,カチオンラジカルの正電荷が不安定化したためと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アズレンを含む複数の新規ヘリセン化合物の合成および光学分割に成功しており、それらのカチオンラジカルの生成も確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
アズレンを含む複数の新規ヘリセン化合物から得られるカチオンラジカルや中性ラジカルの単離、構造解析、光物性、磁気物性について、検討を進める。
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Causes of Carryover |
(理由) 物品費については。当初の計画よりもスムーズに実験が進んだこと、および試薬、溶媒、ガラス器具などの節約に努めたことにより、これらの購入にかかる費用が少なくなった。旅費については、参加する予定であった学会が全てオンライン開催となり、使用することがなかった。研究打ち合わせなどもオンライン方式でおこなったため、旅費の支出がなかった。 (使用計画) 新しく設計した化合物を合成するための試薬や溶媒、合成するための装置類、物性測定のための器具などの購入に物品費を使用する予定である。次年度からは、学会も現地開催が増えると予想され、また、外部での測定実験も行うことが想定されるため、旅費の支出を予定している。
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Research Products
(22 results)
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[Journal Article] Helically aligned fused carbon hollow nanospheres with chiral discrimination ability2022
Author(s)
Jun Maruyama, Shohei Maruyama, Yukiyasu Kashiwagi, Mitsuru Watanabe, Tsutomu Shinagawa, ToruNagaoka, Toshiyuki Tamai, Naoya Ryu, Koichi Matsuo, Mao Ohwada, Koki Chida, Takeharu Yoshii, Hirotomo Nishihara, Fumito Tani, Hiroshi Uyama
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Journal Title
Nanoscale
Volume: 14
Pages: 3748-3757
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Force-responsive ordered carbonaceous frameworks synthesized from Ni-porphyrin2021
Author(s)
Koki Chida, Takeharu Yoshii, Kazuma Takahashi, Masanori Yamamoto, Kazuya Kanamaru, Mao Ohwada, Varisara Deerattrakul, Jun Maruyama, Kazuhide Kamiya, Yuichiro Hayasaka, Masataka Inoue, Fumito Tani, Hirotomo Nishihara
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Journal Title
CHEMICAL COMMUNICATIONS
Volume: 57
Pages: 6007-6010
DOI
Peer Reviewed
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