2022 Fiscal Year Research-status Report
The mechanism of structural phase transitions in organic crystals accompanied by crystal crushing and their device applications
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21K05045
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
高澤 健 国立研究開発法人物質・材料研究機構, エネルギー・環境材料研究拠点, 主幹研究員 (10354317)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 有機単結晶 / 構造相転移 / アクチュエータ / 複屈折 / 相境界 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度までの研究で、本課題の最終目的である「構造相転移を利用した、繰り返し動作可能な有機単結晶アクチュエータ」を実現することができた。具体的には、1, 2, 4, 5-四臭化ベンゼン(以下TBB)の単結晶ファイバーの温度誘起構造相転移を利用して、20回以上繰り返し動作が可能な高速・高出力アクチュエータの開発に成功した。2022年度は、本アクチュエータの機械特性・力学特性等を精密に定量評価し、それらを纏めた成果を論文発表した。 また、本研究推進の過程で、TBBの構造相転移を分光学的に確認するために、約5cm-1程度の超低振動数領域まで測定が可能な顕微ラマン分光装置の開発を行った。この装置は、TBBの相転移確認だけでなく、様々な物質の超低振動数領域のラマン測定に適用可能であるため、汎用性が非常に高い。そこで、本装置の開発に関する論文を執筆して発表した。 さらに、有機結晶の構造相転移ダイナミクスを詳細に研究するために、偏光顕微鏡と高速度カメラを組み合わせた新規装置の開発を行った。この装置は、相転移による結晶の僅かな複屈折の変化を検知することが可能であり、その結果、転移相の空間的な伸展を直接画像として捉えることができる。本装置を用いてTBB単結晶の構造相転移を観測したところ、結晶が相転移温度に達すると、結晶端に娘相が発生し、その後、母相と娘相の境界が結晶中を高速で移動することにより相転移が進行することが明らかになった。また、相境界の移動速度は、結晶中の音速にほぼ等しいことが分った。有機結晶の構造相転移が、このような相境界の高速移動により進行することを実際に観測することができたのは、本研究が初めてである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本課題の最終目標を達成した上で、さらに研究を発展させることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度に新たに開発した装置により、TBB単結晶の相転移ダイナミクスを直接観測することに成功した。その結果、TBBの構造相転移は、母相と娘相の境界が音速に近い速度で結晶中を移動することで進行することを明らかにした。このような高速相転移ダイナミクスを直接観測した例は、これまでほとんどないため、この観測結果を詳細に解析することは、有機結晶の構造相転移のメカニズムを理解する上でたいへん重要である。理論モデルを構築し、相転移メカニズムの解明を行う。
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Causes of Carryover |
出張を行わなかったことと、購入予定物品の一部を今年度購入としたために生じた。2023年度は、学会出張を行うとともに、当該物品を購入する。
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