2022 Fiscal Year Research-status Report
フロキサン環の新規修飾法開発に基づく普遍的官能基の多様的変換
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21K05054
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
松原 亮介 神戸大学, 理学研究科, 准教授 (90401223)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | フロキサン / 光反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
フロキサンは1,2,5-オキサジアゾール-2-オキシド類縁体の慣用名である。ヘテロ芳香環であり、芳香族化合物でありながら反応性が高く分解しやすいため、選択的・高収率な合成法が乏しい。そのため、世界的に見ても応用面での研究はあまり進んでいない実情があった。 最近当研究室において種々の新規合成法が開発され(例えば昨年度の研究で開発したC-H活性化を伴う炭素置換基導入法など)、多くの誘導体が合成できるようになった。そこで、今度は、フロキサンが分解しやすい性質を逆手に取り、フロキサンを合成中間体として捉え、種々の化合物への短段階変換、その後の応用展開を試みている。 今年度はフロキサンに対する光反応を検討した。通常フロキサンは光を照射すると異性化が進行するのみである。すなわち、フロキサンに光照射を行っても、原料のフロキサン化異性体のフロキサンが生じるのみである。しかしながら、種々の検討の結果、一部はケトエステルと呼ばれる、求電子性の高い化学種へと変換されることを見出した。この現象はすべてのフロキサンにおいて見られるわけではなく、特定の置換基を有する限られたフロキサンにおいてのみ観測される。最適な波長、溶媒、反応時間など、種々の最適化を行い、現時点で中程度の収率でケトエステルを得ることができるようになった。ケトエステルの同定はNMRやオーセンティック化合物を別方法で合成するなどして、確実に行っている。現時点ではその詳細な反応機構は未解明である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた通り、フロキサンが種々の条件で分解しやすいことが分かり、検討の中で未知の変換反応を見つけることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度においてフロキサンの光化学的な未知の変換反応を開発することができた。収率は中程度であるので、より高収率を目指した反応条件検討が必要と考えている。また、得られた生成物をフロキサンから光反応で得ることの利点を活かした応用研究を模索する計画である。
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Causes of Carryover |
218円と少額であり、ほぼ当初の計画通り助成金を使用したと捉えている。次年度の使用計画に特に変更はない。
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