2023 Fiscal Year Annual Research Report
Generation of radical species by the design of sulfonyl groups
Project/Area Number |
21K05068
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
南保 正和 名古屋大学, トランスフォーマティブ生命分子研究所, 特任准教授 (10705528)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ラジカル種 / スルホニル基 / 炭素-スルホニル結合活性化 / 可視光フォトレドックス触媒 / 付加反応 / ホモカップリング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では1電子還元による炭素-スルホニル結合開裂によってラジカル種の発生法を開発することで、有機合成化学におけるスルホン化合物の新しい活用法を開拓することを目的とする。昨年度は可視光フォトレドックス触媒を用いたラジカル発生法を開発し、gem-ジフルオロアルケンへの付加反応を見出した。これらの知見をもとに、本年度はラジカル反応の拡張を目指した。 その結果、可視光フォトレドックス触媒としてIr触媒、犠牲還元剤にトリエチルアミンを用いるとa-トリフルオロメチルスチレンに対する付加反応が進行することが分かり、gem-ジフルオロアルケンが得ルことに成功した。本反応において、生成物へのさらなる付加反応は起こっておらず、選択的に目的物が得られた。またベンジルスルホン類を用いると効率的なホモカップリングが進行することを見出した。本手法を用いることで、アリール基上に多様な官能基を有するジアリールエタン誘導体が得られた。またa位官能基化反応と組み合わせることで、従重水素やフッ素が選択的に導入された分子群を簡便に合成することができた。 研究期間全体を通じ、適切な還元剤あるいは可視光フォトレドックス触媒を用いることで多様な形式のラジカル反応を開拓することに成功した。コントロール実験や量子化学計算によって、アルキルラジカル種の発生機構を解明することでスルホンをラジカル前駆体として用いる有機合成化学的価値を示すことができたと考えている。
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