2022 Fiscal Year Research-status Report
Synthesis and Development of Molecular Isolated Reactive Sites
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21K05076
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
遠藤 恆平 東京理科大学, 理学部第一部化学科, 准教授 (70454064)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ホスト分子 / ゲスト分子 / 反応制御 / 化学選択性 / 分子触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)2022年度においては本研究で使用する基本骨格の1つである縮環型トリシクロヘキサンとシクロヘキサジエンの合成と反応性について論文として報告した。さらにその過程で本骨格の特異的な光物性が明らかになった。たとえばシクロヘキサジエンでは「非平面」「非共役」だが単純骨格においても大きなストークスシフトが観測され、400 nm程度のUV吸収と500 nm程度の蛍光発光を実測した。この化合物は発光団としてはベンゼンが単独で骨格に含まれるのみで、通常であれば250 nm前後のUV吸収と、ほぼ同程度の波長領域の発光を示す。しかし本骨格では吸収と発光が大きく長波長シフトする。過去に類似の性質を示す化合物が存在するが固体状態か高濃度条件における特殊なAIEと呼ばれる凝集状態における発光であり、本化合物が高希釈条件でも強い発光を示すこととは対照的である。この成果をまとめるため現在論文作成に入っている。 (2)特殊な反応場構築の基本骨格の分子設計と、その簡便合成ルートの開発に成功した。本研究の要となる単分子フラスコ型の反応場を提供し、様々な反応の反応機構について情報を得ることが可能になる。また、この新規骨格は超分子構造の1つとして応用が可能である。またホスト分子としての空間制御により、ゲスト分子の選択的な取り込みを可能とする、 (3)歪みを利用した化学選択的な反応に関するモデル分子を設計し合成に取り組んでいる。また分子の歪みを利用して、特定の結合部位に物理的な力を与えることで結合距離の変化などが可能かを模索中である。 (4)本研究で開発する特殊な多核反応場による反応制御において幾つかデータをまとめ論文投稿を目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
進捗自体は問題ないが論文投稿が遅れている。当初目標としては「孤立空間を分子フラスコ」として見立て反応制御に展開することであった。その構造の基本骨格の合成について論文投稿のために一度着地点を模索した結果、合成素子としての利用を明らかにするため再現性を得るまでに時間を要した。また光物性について明らかとしデータ収集を行ったことで若干横道に逸れている。一方で数ナノメートルスケールでの孤立空間を有する分子フラスコとしてのモデル分子の設計は現状で考える限り成功しており、一部は既に合成済みでありホスト分子としての機能を調べ論文投稿を予定している。その他の分子の合成も残り数ヶ月で基本的に達成可能と考えている。ただ結局のところ本研究期間内に論文投稿を完遂できるかどうか見通しが立っていないものが多い。現在の想定通りであれば比較的シンプルな内容で最初の論文投稿まで進められると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)研究過程で見出した化合物の光物性を測定し論文としてまとめる。過去の例と異なる特徴があり発光のための作用機序を解明するか、または単純な実測結果をもって新規発光素子としての潜在性を示す。また誘導体の設計に取り組み実用的な方向性を模索する。特にヘテロ原子を導入した誘導体については平面化合物においても有用であることが示唆されていることから、本研究においても活用を予定している。 (2)孤立空間内部の官能基化について既に部分的に成功しているため、ホスト分子として見立て、ゲスト分子の選択的取り込みを確認後に論文投稿のためまとめる。また孤立空間内部と外部の反応性の違いについて明らかにする。そのためには孤立空間内部に官能基を導入するか、外部に官能基を導入するどちらかの選択性が求められる。現状ではおそらく作り分けが可能と考えているため鋭意合成に取り組む。 (3)歪みを活用する結合の反応性の解明などについては分子設計は確立しているもののモデル分子の合成が進んでいない。(2)で利用する骨格と合成中間体には共通項があるため、合成を加速させたい。 (4)反応開発の新規化合物合成に取り組んでおり既に結果は出ている。収率向上などを目指しつつ、データをまとめ論文投稿予定。
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Causes of Carryover |
試薬購入のため見積もりをとり発注していたところ、生産の問題で納品キャンセルとなったため。
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Research Products
(9 results)