2023 Fiscal Year Annual Research Report
Devlopment of Molecular Catalysts Promoting Consecutive Reductions of Carbon Dioxide with High Selectivity
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21K05100
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山内 幸正 九州大学, 理学研究院, 助教 (50631769)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 人工光合成 / 二酸化炭素還元 / コバルト錯体触媒 / NHC配位子 / 水素発生 / メタン生成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、種々のCo-NHC錯体を触媒とする光化学的及び電気化学的CO2還元反応について詳細な検討を行った。 まず、光増感剤fac-Ir(ppy)3に基づく光反応系を用い、各錯体触媒のCO2還元特性評価を行った。その主生成物はCOであり、酸の添加に伴う触媒特性の大幅な向上が観測された。一方で、メタノールやメタン等の多電子CO2還元生成物は検出されなかった。 続いて、各種電気化学測定により、種々のCo-NHC錯体触媒のCO2還元挙動を評価した。その結果対称な配位子構造を有するCo-NHC錯体触媒では、Co(I)種の形成をトリガーとするCO2還元反応の促進が確認された。一方で、生成したCOがCo(I)中心に捕捉され、Co(I)-CO種を形成することが明らかとなった。続いて、CO2雰囲気下で定電位電解を行った。対称型Co-NHC錯体触媒について、Co(I)種を形成する電位でバルク電解を行ったところ、やはりCOは微量しか生成せずdead-end種としてCo(I)-CO種が形成し反応が停止することが確認された。次に、対称型Co-NHC配位子の還元電位付近に相当する、負に大きな電位を印加した際、やはりCOはほとんど生成しなかった。これらの結果は、配位子還元電位付近でもCOが触媒的に生成せず、対称型Co-NHC錯体上にCOが引き続き強固に捕捉されていることを示唆する。その一方、水素が主生成物として観測された。この結果は、COのトランス位における空の配位座において、プロトン付加に基づくヒドリドが形成し水素生成が進行することを意味する。さらに興味深いことに、微量ではあるがメタン生成が観測された。この結果は、対称型Co-NHC錯体触媒上に捕捉されたCOが活性化され後続の逐次多電子還元過程へと導かれたことを示唆している。 以上、CO2の逐次多電子還元を駆動する金属錯体反応場を構築したと結論づけた。
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