2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K05103
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
中井 英隆 近畿大学, 理工学部, 准教授 (70377399)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 合成化学 / 光物性 / メカニカル結晶 / 有機金属錯体 / ジチオナイト錯体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、独自に開発したジチオナイト錯体の結晶が示す「2つのメカニカル機能(光照射によって、結晶が屈曲する機能と弾ける機能)」を起点に、合目的的にメカニカル結晶を開発することである。研究期間内(3年間)に、新規なジチオナイト錯体の設計・合成を通して、上記2つのメカニカル機能の諸特性と分子・結晶構造との相関を明らかにし、ジチオナイト錯体によるメカニカル材料創製の基礎(分子設計指針)を確立する。 令和3年度は、当初の計画に沿って、「屈曲する機能の理解(重点項目1)」を中心に研究を進めた。屈曲する機能を示す棒状結晶を与える「炭素数が5つのn-ペンチル基を導入したロジウムジチオナイト錯体」をプロトタイプとして、様々なロジウムジチオナイト錯体の誘導体を設計・合成した。具体的には、炭素数が5つの環状の置換基であるcyclo-ペンチル基、n-ペンチル基の炭素の一つを酸素に置換したn-メトキシプロピル基、炭素数が6つのn-へキシル基、n-へキシル基の炭素の一つを酸素に置換したn-メトキシブチル基等を導入したロジウムジチオナイト錯体を合成し、結晶を作製した。その結果、n-メトキシブチル基を導入したロジウムジチオナイト錯体が、ミリメートルサイズの棒状結晶を与え、光照射によって棒状結晶が屈曲することを明らかにした。すなわち、プロトタイプのn-ペンチル基の末端メチル基をメトキシ基に置換してもメカニカル機能を有する結晶が得られることがわかった。上記成果および本研究遂行に伴い派生した成果は、日本化学会第102春季年会等で発表するとともに5報の学術論文としてまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画に沿って研究を進め、重点項目の一つである「屈曲する機能の理解」に向けた手掛かりを得ることができている。具体的には、「光照射によって屈曲する機能を示す棒状結晶」を与える新規なロジウムジチオナイト錯体の合成に成功しており、研究は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は、重点項目1に加えて、下記に示す重点項目2および3にも力を入れて研究を進める。 (重点項目2)弾ける機能の理解:ジチオナイト錯体が示す弾ける機能に関しては、まだ、その詳細が明らかになっていない。期間内に、弾ける機能が発現する「要因」を明らかにする。 (重点項目3)メカニカル機能の制御と特異な機能の開発:ジチオナイト錯体の結晶が示すメカニカル機能が「制御可能」であるかを明らかにする。さらに、屈曲する機能と弾ける機能の融合によって、「特異なメカニカル機能の開発が可能」であるかを明らかにする。
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Causes of Carryover |
納期等が年度末・次年度になってしまった物品費、3月の人件費・謝金等が本年度の使用として計上できなかったためであり、経費は当初の計画通り使用している。
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