2023 Fiscal Year Annual Research Report
Development of inkjet polarography
Project/Area Number |
21K05109
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
巽 広輔 信州大学, 学術研究院理学系, 教授 (60336609)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ポーラログラフィー / インクジェット / 液体電極 / 電気化学測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
電子伝導体の粉末(主として炭素粉末)とバインダー液体とを混合して調製した液状電極を用い、電極表面の更新方法としてインクジェット技術を導入することにより、新しいポーラログラフィーを確立することが本研究の目的である。本方法は、開発の当初から連続使用する際にキャピラリーが詰まりやすいという問題があったが、前年度までに、バインダー液体を種々検討することにより、液状炭素電極を再現性良く吐出し電気化学測定するための実験条件を決めることができた。今年度は、液状炭素電極の周期的な吐出の際にオーム降下(とくに電極内部の抵抗の大きいところに電流が流れることにともなう電圧降下)が変動し、得られる電流―電位曲線に影響を与えることを軽減するために、電流―電位曲線の測定中に同時に回路の抵抗も測定し、測定後にオーム降下の補正を行うことを試みた。ここでは交流信号重畳法(印加する直流電位に電極反応に影響を与えない程度の微小な交流電位の摂動を重畳し、得られた交流電流シグナルから抵抗を求める方法)を採用した。重畳する交流電位の振幅や周波数等、測定条件を種々検討した結果、電流―電位曲線の測定中に同時に抵抗を測定することができた。これにより電極内部の抵抗にともなうオーム降下を補正することはできたが、依然として別の部分の抵抗が大きく、理想的な電流―電位曲線は得られなかった。交流インピーダンス測定の結果、この別の部分の抵抗は電荷移動抵抗(電極表面での電子移動速度に関係する抵抗)に帰属され、それがバインダー液体に由来するものと考えられた。そこでさらに異なるバインダー液体を検討したところ、低粘度流動パラフィンを用いたときに電荷移動抵抗が低減できた。
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