2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of local viscoelasticity measurement using rotational behavior of magnetic nanoparticle under alternating magnetic field
Project/Area Number |
21K05112
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
諏訪 雅頼 大阪大学, 大学院理学研究科, 助教 (90403097)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 磁気ナノ粒子 / 交流磁場 / 力学プローブ / 局所粘弾性 / 磁気直線二色性 / 磁気直線複屈折 |
Outline of Annual Research Achievements |
種々の磁気ナノ粒子(MNP)分散試料の交流磁場下における光学異方性変化を測定した。特に周波数依存性について詳細な調査を行い、以下のような結果が得られた。 ①MNP分散液の磁気直線二色性-周波数スペクトル(MLD-FS)を測定し、そのMNPサイズや組成依存性を調べた。その結果,MNPの異方性エネルギーによりMLD-FSの形状が変化することが分かった。これは、MNPの回転モードの違いに起因し、MNPの新しいキャラクタリゼーション法として利用可能であることが示唆された。 ②MNP-ハイドロゲル分散液のMLD-FSを測定した。ハイドロゲルとして、巨視的な粘弾性が単緩和Maxwellモデルと良く一致する疎水性エトキシ化ウレタン(HEUR)の水溶液を用いた。その結果、ゲル中ではMNPの表面修飾で、MLD-FSのHEUR濃度依存性が異なった。特に、表面にカルボキシ基を修飾するとHEURとの相互作用が強くなり、HEUR濃度増加に伴いMLD-FSは複雑に変化した。ゲルネットワークに吸着したMNPの配向運動から、局所的な力学特性の議論が可能になると考えられる。 ③脂質二分子膜小胞であるリポソーム内の粘性率や膜の局所的粘弾性測定への応用を目指し、MNPを内包したリポソーム懸濁液の磁気直線複屈折-周波数スペクトル(MLB-FS)を測定した。MLB-FSの解析から、MNPは脂質膜に吸着し、リポソームと一体となり回転することが分かった。また,MLB-FSの温度変化を調査すると,脂質膜のゲル-液晶相転移温度で急激に変化することが分かり、ナノスケールでの膜の粘弾性測定の可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していた試料(MNP-HEUR分散液やMNPを内包したリポソーム)の磁気光学異方性の磁場周波数スペクトルを高感度に測定することができた。そのスペクトル形状から交流磁場下で配向運動の様式を調査可能であることを明らかとし、本課題の目指す局所粘弾性測定法の完成に向けて当初の計画以上に進展していると言える。 一方で、現装置では交流磁化測定の感度は低周波数側(< 100 Hz)で光学異方性測定の1/10程度になることが判明し、測定セルや磁場発生コイルなどの更なる改善が最終年度の課題となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
22年度に大きな進展があったハイドロゲル試料およびリポソーム試料のMLDやMLB測定について、さらに研究を進める。具体的には、マクロな粘弾性挙動が広く知られている臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)の紐状分子集合体が形成するゲルや、電荷状態やアルキル鎖長の異なる脂質分子で構成されるリポソームを用いる。表面修飾の異なるMNPを合成し、上記のゲルやリポソーム内での交流磁場配向挙動をMLD(あるいはMLB)-FSを用いて調べる。 また、磁化測定装置の改良を行う。現在までの研究から、磁化信号を取得するピックアップコイルの形状とコイルや試料に対する位置決めが重要であることが判明している。ピックアップコイル付のセルホルダを自作し、光学実験用アクチュエータと接続することで高精度位置決めが達成できると考えられる。また、高感度磁化測定を目指し、差分増幅回路とロックインアンプの併用を予定している。 最終的には、交流磁場印加に伴うMLD(MLB)波形と磁化信号からMNPに働くトルクと配向度から、MNP周囲の粘弾性を見積もる。これを数値計算と比較することでその妥当性を議論し、本研究の目標(MNPの交流磁場応答を利用した局所粘弾性測定法の開発)達成を目指す。
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Causes of Carryover |
本年度はほぼ当初の計画通りの予算執行であったが、2021年度に適正スペックの電源購入により生じた繰越金(約250千円)が一部未使用となっている。2023年度、MNPの合成試薬や脂質分子の購入などに使用する予定である。
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Research Products
(10 results)