2023 Fiscal Year Annual Research Report
Development of local viscoelasticity measurement using rotational behavior of magnetic nanoparticle under alternating magnetic field
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21K05112
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
諏訪 雅頼 大阪大学, 大学院理学研究科, 助教 (90403097)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 磁性ナノ粒子 / 配向運動 / 磁気直線二色性 / 交流磁場 / 周波数スペクトル / 回転緩和時間 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は,「複雑流体の局所的な粘弾性はマクロな粘弾性とどのように異なるか」を明らかにすることを目的とし,交流磁場中におけるMNP分散試料の光学異方性と磁化のダイナミクスを利用した局所粘弾性測定法の開発を行った。以下に主な研究成果を述べる。 ①交流磁場中における磁気直線二色性(MLD)高感度測定装置の開発:バイポーラ電源と自作のコイルを用いて,周波数範囲0.3 Hz~100 kHzの交流磁石を作製した。既存のMLD測定用の光学系と組み合わせ,広い周波数範囲での測定を達成した。②MLDの交流磁場周波数依存性:周波数fの交流磁場内において,MNP分散液のMLDは2fで振動する。この2f成分の振幅と位相をロックインアンプで測定し,実部と虚部に分け周波数に対してプロットし,MLD周波数スペクトルを得た。③MLD周波数スペクトルのMNPサイズ依存性:サイズの小さい酸化鉄MNP分散試料ではデバイ型の緩和スペクトルが観測され,虚部のピーク周波数からMNPの回転緩和時間が見積もられた。一方,大きな酸化鉄MNPや異方性が大きいコバルトフェライトMNPでは実部に負のピークが観測された。この違いは,MNPの回転モードの違いで説明できた。④ゲルに分散したMNPの配向運動観測:MNPをハイドロゲル内に分散させ,MLD周波数スペクトルを得た。スペクトルはMNPの表面状態により異なり,ゲル架橋分子との相互作用を反映することが分かった。架橋分子に吸着するMNPを用いると,網目の力学特性が測定できることが示唆された。⑤磁気直線複屈折(MLB)測定:波長785 mmの近赤外光を用い,MNP分散液のMLBを測定できた。MLBもMNPの配向挙動を反映することを明らかとした。近赤外光は透過性が良く,リポソーム懸濁液のような白濁試料や濃厚なMNP分散液でも測定可能であった。脂質膜の力学特性や,濃厚コロイド系の粒子間相互作用を調査するツールとしても期待できる。
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