2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of Mechano-stress Detection System by Mechanoprobe-introduced Polymer
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21K05133
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
土戸 優志 早稲田大学, 理工学術院, 講師(任期付) (40737219)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 電荷移動錯体 / 蛍光 / メカノストレス / 超分子 / Charge-transfer complex / Fluorescence / Mechanostress / Supramolecule |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、メカノプローブを主鎖に導入したポリマーを用いて、メカノストレスを検出する手法の開発を進めている。本年度は、メカノストレス検知ユニットとしてはたらく電荷移動錯体について、異なる長さのアルキル鎖で接続した錯体を複数合成し、その材料物性について評価を行った。 1)メカノプローブの合成:電子ドナーのピレンと電子アクセプターのナフタレンジイミドを、様々な鎖長のアルキル鎖をリンカーとしてつないで配列したメカノプローブを合成した。合成したメカノプローブを、有機溶媒に溶解して紫外可視吸収スペクトルを測定したところ、500nm付近に電荷移動錯体由来の吸収が存在することがわかった。さらに、蛍光スペクトル測定により、ピレンの励起波長を照射しても蛍光発光しないことから、電荷移動錯体を形成していることが分かった。続いて、このメカノプローブの両末端から、ウレタン構造を持ったポリマー鎖を伸長させることによって、異なるアルキル鎖長を有する電荷移動錯体を主鎖につないだポリマーを合成した。合成したポリマーは、NMRおよびGPCを用いて評価し、目的のポリマーが得られたことを確認した。 2)メカノストレス応答機能評価 合成したポリマーをキャスト法によりフィルム状に成型し、試料片を作製した。この試料片を蛍光イメージング装置中で伸長させ、メカノストレス応答を評価したところ、ほとんど蛍光発光せず、鎖長を変化させても蛍光発光は生じないことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初に計画していた、メカノプローブの合成とポリマー合成、スペーサーの鎖長効果、およびスペーサー構造の違いによるメカノストレス応答機能の評価を進めた。その結果、オリゴエチレングリコール鎖とアルキル鎖のスペーサーを各々伸長した場合、メカノストレスを印加したときの蛍光応答に違いが見られた。これは、形成した電荷移動錯体の安定性の違いに起因していると考えている。目的の機能を有する材料設計に必要な知見を得ることができたことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、ポリマーの分子設計を大きく変えたものを合成・評価することにより、メカノプローブの最適な配置位置についての知見を得る。また、将来的なバイオマテリアルとしての応用展開を見据えて、細胞毒性や細胞の接着性、細胞から加えられるメカノストレスに対する応答があるかなど、材料と細胞の相互作用についても評価する。ここまでに得られた知見をまとめて、学会発表、論文投稿等により研究成果を広く社会に還元するとともに新たな研究展開の可能性について検討していく。
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Causes of Carryover |
学内で借用していた引張試験装置に不具合が生じ、物性評価の一部が中断していたため、使用計画にやや遅れが生じた。また、消耗品等の購入が効率よく行えたため、残額が生じた。得られた研究成果を国内外に公表して社会に広く還元するため、種々の学会における発表、および投稿論文としてまとめる。精緻な実験を進めるために必要な備品や消耗品、共通機器利用料、英文校正費・論文投稿料などに充当する。
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Research Products
(3 results)