2021 Fiscal Year Research-status Report
可視光と量子ビームを利用したイオン液体中での電析反応の精密解析
| Project/Area Number |
21K05136
|
|---|
| Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
|---|
Principal Investigator |
田村 和久 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 物質科学研究センター, 研究副主幹 (10360405)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
| Keywords | イオン液体 / 電気化学 / 表面界面構造 / 量子ビーム |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、電気化学測定と可視光・量子ビームを利用した測定手法を組み合わせてその場同時測定を行うことで、イオン液体中でのアンダーポテンシャル電析(UPD)反応を解析することを目的としている。具体的には、イオン液体として1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフオロボレート([BMIM]BF4)を、析出させる金属にBiとして、Au(111)単結晶電極上でUPD反応がどのように進むかを調べる。今年度は、主として可視光反射率測定により、電流電位測定で観測される電流ピークの中でどのピークが直接UPD反応に関与しているのかを調べると共に、おおよそのBiの被覆率の電極電位依存性を調べることを目的として研究を行った。光源にはHe-Neレーザーを用いた。比較の為に、これまでに多くの報告例がある水溶液中でのUPD反応についても同様な実験を行った。
電極電位を一定の速度で変化させながら、電流値とレーザー光の反射率強度を同時に測定した。まずは、Biイオンを含む過塩素酸水溶液を電解液とした実験を行い、反射率強度の変化率と電流値を積分して得られる電気量との関係を調べて、反射率強度の変化率とBi原子の被覆率との関係を調べた。その上で、Biイオンを含む[BMIM]BF4を電解液とした同様の実験を行った。その結果、[BMIM]BF4でのBiのUPD反応では、3つの異なる過程が存在し、それぞれBiイオン１個当たり金属ビスマスまで還元するのに必要な電子数が異なることを見いだした。また、イオン液体中で形成されるUPD Bi層の被覆率は、おおよそ0.5 モノレーヤであり、過塩素酸水溶液中の0.62モノレーヤよりも少ないことがわかった。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ当初の計画通り、電気化学測定と可視光反射率測定のその場同時測定を行った。反射率測定を行って得る予定であったデータは概ね取得することができたと考えている。X線回折実験に必要な準備も順調に進んでいる。
|
| Strategy for Future Research Activity |
電気化学測定と可視光反射率測定を同時に行ったことで、電極電位とBiの被覆率との関係を概ね理解することができた。今後は、表面X線散乱測定を行うことで、Bi電析反応の各段階における、Bi原子層で被覆されたAu(111)表面の構造を３次元的に精密に解析していく。
|
| Causes of Carryover |
(理由)
参加した学会が全てオンライン開催で出張旅費の支出がなかったため。また、予定していた、金単結晶の価格が高騰しており、今年度は所有している単結晶で実験を行うことにしたため。
(使用計画)
次年度に行う放射光実験に必要な金属単結晶電極を予定数より多めに再研磨するために使用する
|
