2021 Fiscal Year Research-status Report
炭化タングステン合成に及ぼすカーボン担体の影響とその水素発生触媒活性
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21K05142
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
尾崎 純一 群馬大学, 大学院理工学府, 教授 (30214125)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 里江子 群馬大学, 大学院理工学府, 特任助教 (70600013)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | カーボン担体 / 窒素ドープ / 炭化タングステン / 水素発生触媒 / 材料反応工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
炭化タングステンはタングステン源である酸化タングステンと炭素源となるカーボンブラックとを混合し、加熱することで得られる。本手法で得られた炭化タングステンは高いHER触媒活性を有しているが、更なる高活性化が必要とされている。 本年度は、原料カーボンとして窒素をドープしたカーボンを用い、炭化タングステンの担持量を変化させてHER活性への影響、炭化タングステン形成過程に与える影響を調査した。これまでの結果では、W/Cが0.05から0.25に増加することで急激なHER活性の低下がみられている。そこで、W/Cが0.05から0.25の領域において活性がどのように変化しているか、その活性と炭化タングステンの状態とを比較することで担持量増加時の活性低下の理由を検討した。TEM観察およびXRD測定の結果、活性の低下が始まる担持量から炭化タングステンの凝集が確認された。さらに、窒素ドープカーボンを原料とした炭化タングステン(WxC/NC)の方がドープしていない通常のカーボンを用いて調製した炭化タングステン(WxC/C)と比較してHER活性の低下が起きる担持量が高いことが分かった。これは、WxC/NCではWxC/Cと比較して炭化タングステンの微粒子化が起こることが分かっており、高い担持量においても炭化タングステンの凝集が起こりにくいことに起因していると考えられる。 また、結晶相の状態については担持量を増やすことによる影響はなく、担持量増加によるHER活性の低下は炭化タングステンの凝集によって起こることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、タングステンの担持量を変化させ、WxC/NCとWxC/Cとを比較することでHER活性の低下の原因を炭化タングステンの凝集によるものと特定した。これまでの研究から、窒素ドープカーボンを用いることで炭化タングステンの微粒子化が可能であることが分かっており、炭化タングステンの担持量増加に向けて窒素ドープ量のコントロールによりHER活性のさらなる高活性化の可能性が示唆された。これは次年度の目標である、高活性WxC担持カーボン触媒を得るためのカーボン材料が持つべき要件を明らかにするための大きな指針となる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の結果から、高活性WxC担持カーボン触媒得るための設計指針を得るためにキーとなるのは炭化タングステンの微粒子化であることが分かった。炭化タングステンの微粒子化をもたらす要因は窒素ドープカーボンであり、今後は窒素のドープ量とHER活性の低下が起きるタングステンの担持量との関係を確認していくこととする。
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