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2022 Fiscal Year Research-status Report

グリーン・サスティナブルケミストリーを指向した実用的なフルオラスイオン液体の創製

Research Project

Project/Area Number 21K05144
Research InstitutionKanazawa University

Principal Investigator

本田 光典  金沢大学, 物質化学系, 教授 (60242533)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 山口 孝浩  金沢大学, 物質化学系, 准教授 (90272947)
須田 光広  金沢大学, 理工研究域, 技術専門職員 (10377400)
Project Period (FY) 2021-04-01 – 2024-03-31
Keywordsフルオラス / イオン液体 / シロキサン / ハイブリッド材料
Outline of Annual Research Achievements

本研究の目的は、粘性の低いフルオラスイオン液体の合成を検討し、このハイブリッド溶媒を実用的な材料へと発展させることにある。また一方で、本申請による研究の下、更なるフルオラス性の向上を目指す。フルオラス性を増強するには単純にパーフルオロアルキル基の数を増やせば良いと考えられるが、その特異な凝集作用も同時に強くなるため、単なる増数では粘性が高くなると予想される。この二律背反を解決するための新たなフルオラスタグの開発を標的とする。
粘度低下を目的とするシリルタグに適した構造を検索するために、ケイ素原子上にシロキシ基を3つもつシリル基を導入したハロゲン化アルキルの合成を検討した。具体的には、クロロトリメチルシランのイソプロパノール溶液にトリクロロ(3-クロロプロピル)シランを反応させ3-クロロプロピルトリ(トリメチルシロキシ)シランを合成し、これをヨウ化ナトリウムと反応させハロゲン交換し、ハロゲンとシリル基の間にメチレンスペーサーを3つもち、分岐型トリシロキサン構造を有するシリルアルキルヨージドを得た。
一方、直鎖型シロキサン構造を導入するためのタグとして、クロロメチルクロロジメチルシランをイソプロパノール溶液中でクロロトリメチルシランと反応させクロロメチルジシロキサンを合成し、これをハロゲン交換してジシロキサン構造をもつシリルアルキルヨージドを得た。
以上に述べた分岐型および直鎖型のシロキサン構造をもつシリルアルキル基をフルオラスタグとして用い、ピロリジンまたはイミダゾールの窒素原子上に2つのタグをもつヨージド塩を合成し、アニオン交換によりライブラリーを構築した。いずれの化合物も粘度測定には至っていないが、一部の化合物において目視で流動性を確認した。
以上の結果は、タグを構成するシロキサン構造の導入によりイオン液体の融点や粘度低下させる可能性があることを示唆するものである。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本年度における本研究の目的は、シロキサン構造をもつハロゲン化アルキルを合成し、その際に分岐型および直鎖型のシロキサン構造をもつものを合成し、これを粘度低下を目的としたシロキサンタグとして調製することにある。これらのタグを導入したイオン液体を合成することにより、修飾能が高いシリル基を維持しながら、タグの構造とイオン液体の粘度の相関を調査し、低粘性のハイブリッドイオン液体のライブラリー構築を目指した。
本研究では、分岐型および直鎖型のシロキサン構造をもつ2種のシリルアルキルヨージドを調製し、これらをタグとして用いてピロリジン、またはイミダゾールの窒素原子上にタグを導入したヨージド塩の合成に成功した。これらを種々アニオン交換して対応する塩に変換したところ、分岐型シロキサンを導入したイミダゾリウム塩は、導入したタグの数やアニオンの種類にかかわらず、固体となったが、分岐型シロキサンを2つ導入したピロリジニウム塩は、常温で液体として得られ、新規イオン液体として利用可能であることを明らかにした。一方、直鎖型シロキサンを1つ導入したピロリジニウム塩も固体となったが、現在2つ目の直鎖型シロキサンの導入を検討中である。
上述のように、ケイ素原子上にシロキシ基もつシリル基を有するシロキサン構造をタグとして導入したアンモニウム塩を合成することにより、イオン液体の粘度低下に一部成功し、タグ中のシロキサン部分の構造と融点や粘度の相関の解明も進行している。しかしながら、シロキサン部分における骨格変更だけでは物性の調整に限界があることが明らかになりつつあり、現時点で全体として概ね予定通りと考えた。

Strategy for Future Research Activity

昨年度および本年度に得られた知見をもとに、ケイ素原子上にパーフルオロアルキル基を3つもつシリル基を導入したシロキサン構造を構築する。シロキサン構造の導入により得られる塩の顕著な粘度低下は認められなかったものの、トリシロキサンを側鎖にもつ塩が従来のイオン液体に比べ粘度が低く分子拡散が速いことも報告されている。加えて、シロキサンを有する塩は高い熱安定性を示すことも分かっており、パーフルオロアルキル基をもつシロキサン骨格をイオン液体に導入すれば低粘性かつ分子拡散速度の速い、フルオラスなイオン液体となることが期待できる。そこで、シロキサン構造中のシリル基にパーフルオロアルキル基を導入し、得られるフルオラスシロキサン構造をタグとして用い、ピロリジン、またはイミダゾールの窒素原子上に2つのタグをもつ塩類の合成を検討し、生成するイオン液体の粘度を低下させる。また、シロキサン構造へのパーフルオロアルキル基の導入数や導入部位の調整を図り、フルオラス性や粘性等の物性のチューニングの可能性を見極めたい。

  • Research Products

    (7 results)

All 2022 Other

All Presentation (5 results) Remarks (2 results)

  • [Presentation] フルオラスなシリコーンイオン液体の合成2022

    • Author(s)
      松澤奨,武井希,本田光典
    • Organizer
      2022年度北陸地区講演会と研究発表会
  • [Presentation] パーフルオロアルキルシリル基を有する新規ターチオフェンの合成とその利用2022

    • Author(s)
      太田朋佳,宮下大輝,林知宏,山口孝浩,本田光典
    • Organizer
      2022年度北陸地区講演会と研究発表会
  • [Presentation] アミノ酸系ハイブリッド界面活性剤の合成2022

    • Author(s)
      中林優人,武井希,太田明雄,本田光典
    • Organizer
      2022年度北陸地区講演会と研究発表会
  • [Presentation] 汎用的利用に向けた多段階電位パルス電解重合法の電解条件の検討2022

    • Author(s)
      下澤昂祐,不破涼佳,山口孝浩,本田光典,中野正浩
    • Organizer
      2022年度北陸地区講演会と研究発表会
  • [Presentation] クロロゲン酸とその類縁体の位置選択的合成2022

    • Author(s)
      相原咲希花,本田光典
    • Organizer
      2022年度北陸地区講演会と研究発表会
  • [Remarks] 分子機能解析化学研究室Webページ

    • URL

      http://kohka.ch.t.kanazawa-u.ac.jp/lab7/index.html

  • [Remarks] 金沢大学学術情報リポジトリKURA

    • URL

      https://kanazawa-u.repo.nii.ac.jp

URL: 

Published: 2023-12-25  

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