2021 Fiscal Year Research-status Report
電極反応により中空粒子内部のpHを制御した環境調和型触媒反応系の構築
Project/Area Number |
21K05148
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
原田 隆史 大阪大学, 基礎工学研究科, 技術専門職員 (00379314)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 中空粒子 / 電極反応 / カプセル型構造体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、中空粒子に固体触媒を内包したカプセル型構造体を電極触媒表面に配置し、電極上での水の酸化または還元反応により生じる電極近傍の局所的なpH勾配を利用して、中空粒子内部のpH制御を行い、中空内部を微小な反応場とする新たな反応系の構築を目指している。このような系とすることで、従来の酸・塩基によって溶液全体のpHを制御する反応系に対して、触媒近傍だけのpH変化が可能となり、生成物の過反応の抑制や、電極反応をコントロールすることによる精密なpH調整によって生成物選択性の発現も期待される。 本年度は、期待する系構築のため、非導電性のシリカをシェルとするカプセル型構造体の膜厚を変えて、電極電位がカプセル型構造体内部の触媒粒子に影響を及ぼさない厚みを調べた。カプセル型構造体としては、これまでにも合成経験のある簡便に中空粒子を合成でき、シェルのサイズ制御が容易なNiナノ粒子を内包したカプセル型構造体を用いた。シリカ源の量を変えることで、いくつかの厚みのシェルを有するカプセル型構造体を合成した。次にこれらのカプセル型構造体を電極反応に用いて電極電位の影響を調べたが、カプセル型構造体のサイズの違いによる変化は確認されなかった。この理由として内包されるNiの担持量が少ない、シェルが厚い、電極との接触などが問題と考えられる。今後はこの点を改善するため、電極表面を粗くすることでプセル型構造体との接触面積を増やし、変化が微量でも検出できるような系で検討を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
カプセル型構造体の合成としては予定通り進行しているが、電極反応系の構築において克服すべき課題が見えてきた状態である。本研究の基盤となる電極反応系の構築までは至っていないため、やや遅れているという状況とした。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度電極反応系の構築に対して克服すべき課題が明らかになった。これらを早期に解決して、電極反応による局所pH制御ができることを明らかにし、実際の触媒反応系への応用へと進めていく。
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Causes of Carryover |
実験の進捗にやや遅れが生じたため残額が発生した。今年度未達の部分の検討を含めて次年度に執行予定である。
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