2023 Fiscal Year Annual Research Report
電極反応により中空粒子内部のpHを制御した環境調和型触媒反応系の構築
Project/Area Number |
21K05148
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
原田 隆史 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 技術専門職員 (00379314)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 中空粒子 / 電極反応 / カプセル型構造体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、非導電性の中空粒子に固体触媒を内包したカプセル型構造体を電極表面に配置し、電極上での水の酸化または還元反応により生じる電極近傍の局所的なpH勾配を利用して、中空粒子内部のpH制御を行い、中空内部を微小な反応場とする新たな反応系の構築を目指している。このような系とすることで、従来の酸・塩基によって溶液全体のpHを制御する反応系に対して、触媒近傍だけのpH変化が可能となり、生成物の過反応の抑制が期待される。また、電流値により簡便に電極反応をコントロールできるため、精密なpH調整が行え、生成物選択性の変調も期待できる。 前年度の結果から、カプセル型構造体のシェルを厚くした場合に内包される金属量が相対的に少なくなることが、複合型電極を用いた系に大きな課題となると考えられた。そのため、今年度は内包される金属量を多くしたカプセル型構造体の合成に取り組んだ。具体的には、金属有機構造体(MOF)を鋳型に用いたカプセル型構造体で検討した。MIL-125を鋳型に、シリカで被覆後、焼成することで、25wt%の酸化チタン粒子を中空状のシリカ粒子に内包したカプセル型構造体を合成した。このカプセル型構造体を電極に固定し光電気化学反応を行った。シリカで被覆していない酸化チタンよりもカプセル型構造体とすることで、電極上の酸化チタン質量当たりの光電流は大幅に減少し、シリカの膜厚を厚くすることでさらに光電流が減少した。これらの結果から、本光触媒系においては約40 nmのシリカ膜厚が存在すると酸化チタンで生成した光電流は電極に到達しないと見積もられた。電極上での水分解反応を利用する実際の反応系への適応・検証までには至らなかったが、非導電性のカプセル構造を利用する導電性の制御が可能であることが確認できた。
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