2023 Fiscal Year Annual Research Report
イオン液体の調湿機構解明による省エネ・イオン液体調湿空調機の開発
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21K05159
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Research Institution | Toyota Physical and Chemical Research Institute |
Principal Investigator |
伊藤 敏幸 公益財団法人豊田理化学研究所, フェロー事業部門, フェロー (50193503)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | イオン液体 / 調湿材 / 液式調湿空調機 / 調湿機構 / 124-トリアゾリウム塩 / ジメチルリン酸アニオン / 小角X線散乱スペクトル / MDシミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
液式調湿空調機はコンプレッサー式空調機と比較して20%以上の省電力運転が可能であり,換気を行いつつ除湿冷房あるいは加湿暖房ができるという利点を持つ.ところが現行の液式調湿空調機では塩化リチウム30質量%水溶液を調湿材に使用している.塩化リチウムは金属腐食性が大きく産出国が偏在する元素であるため塩化リチウムに替わる新たな調湿材が求められていた.そこで吸湿性を示すイオン液体を探索し,ジカチオン性第4級アンモニウムのジメチルリン酸がシリカゲルや塩化カルシウムを凌駕する吸湿性を示すことを明らかにした.次に,系統的にアルキル置換基を変化させたイミダゾリウム,ピラゾリウム,124-トリアゾリウム,123-トリアゾリウムカチオンのジメチルリン酸塩を合成し,強力な吸湿力と優れた水蒸気交換効率を示す新たなイオン液体を見いだした.さらに,ピラゾリウムならびに124-トリアゾリウム塩では,カチオン上のアルキル基の疎水性が増大すると吸湿力が上がるという興味深い現象を発見した.そこで, 124-トリアゾリウム塩に焦点を当てて小角X線散乱スペクトルを測定した結果,124-トリアゾリウム塩イオン液体およびその水溶液はラメラ, ヘキサゴナルシリンダー,ビコンテニュアウスミクロエマルジョン, ミセル様,および無定型集合状態をとり,その構造はイオン液体のカチオン置換基と水分濃度に依存することがわかった.さらに,イオン液体が形成するナノ集合体内の極性ドメインに水分子が蓄積し,水分量が増加するにつれてドメインサイズが拡大することをMDシミュレーション実験で明らかにした.イオン液体の吸湿性能がイオン液体のナノ集合体の構造に起因することを明らかにした最初の例である.イオン液体は入手容易な材料で合成でき,金属腐食性が低く,水蒸気交換効率もLiCl水溶液を上回るため,液式調湿空調機用の優れた調湿材になると期待される.
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[Journal Article] Characterization of Information-Transmitting Materials Produced in Ionic Liquid-based Neuromorphic Electrochemical Devices for Physical Reservoir Computing2023
Author(s)
Sato, D.; Shima, H.; Matsuo, T.; Yonezawa, M.; Kinoshita, K.; Kobayashi, M.; Naitoh, Y.; Akinaga, H.; Miyamoto, S.; Nokami, T.; Itoh, T.
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Journal Title
ACS Applied Materials & Interface
Volume: 15
Pages: 49712-49726
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Electrochemical Synthesis of Protected Cyclic (1,3;1,6)-β-Glucan Dodecasaccharide2023
Author(s)
Shibuya, A.; Ishisaka, Y.; Saito, A.; Kato, M.; Manmode, S.; Sasaki, N.; Itoh, T.; Nokami, T.
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Journal Title
Faraday Discus
Volume: 247
Pages: 59-69
DOI
Peer Reviewed
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